〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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海外生活の長い子どもの日本語での会話と行動

正しい日本語と日本文化を習得するために補習校や日本人学校での学習が必要

海外生活の長い子どもと接すると、日本語での会話や行動に違和感を持つことがあります。ここでは、毎年夏に日本で行っている日本語・日本文化「サマーキャンプ㏌ぎふ」に参加する子ども達の言動を取り上げます。
たとえば、小さな子どもから「あなたは私と遊べるか」と言われた時には首をかしげました。ただし、米国生活を始めたころ、自宅アパートの敷地内で、見知らぬ男の子に「Can you play with me?」と言われ驚いたことを思い出しました。また、私が説明したことを他の子どもに「彼は○○○と言っているよ」と伝えたことにも違和感を持ちました。
日本では目上の人を指すのに、「あなた」「彼(彼女)」という言葉を使うことはあまりないので、目下の人から面と向かって「あなたは…」と言われることを快く思わない人も多いでしょう。
また、部屋の掃除をするように指導しているときに、「あなたは掃除したいのか」と言われたことがあります。英語では「Do you want me to clean up?」と言いたかったのでしょう。2歳9カ月で渡米した娘は小さいとき、「わたしをもっていって」という言葉をよく使っていました。英語の「Please bring me.」ですね。
日本語を学習しているものの、ボキャブラリーが乏しいため、このような誤った表現をしてしまうのです。それでも理解してくれる人もいますが、前者のような表現は相手に不快感を与える可能性があります。
このように違和感のある日本語表現をすることは、家庭では日本語を使用し日本的な生活を送っているとしても、第一言語が英語などの外国語であり、日本とは異なった文化での生活時間が長いので当然です。
海外生活の長い子どもは積極的でフレンドリーなのがとても良いのですが、日本の子どもたちと比べると態度が大きいと感じることもあります。サマーキャンプでお世話になる学校の校長先生との初めての挨拶の際に、握手を求めた小学生がいましたが、これこそ異文化だとして好意的に受け止めた方がいる一方で、そうは思わない方がいたのも事実です。
相手が違和感を持つような言動をすると、良好な関係が築けません。日本人の社会と関わりを持つためには、正しい日本語と日本文化を理解する必要があります。
そのためには、家庭だけではなく、補習校や日本人学校、日本語学校などで、学習することが大切です。とくに補習校や日本人学校では、正しい日本語を使って学習することはもちろん、日本の学校に準じた生活指導を行っているところも多いので、日本的な礼儀作法も身につくでしょう。
(次回は7月第4週号掲載)
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