タイチ不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第105回
ニューヨーク市での不動産購入は人生最大の買物でしょう。成長を続ける不動産市場の波に乗るために優れた物件を探し出すことが肝要です。市場平均より速いスピードで成長する可能性のある不動産を特定するためのヒントを探しましょう。
（１）近隣の開発
購入しようとする不動産の近くに建設現場を見つけるとほとんどの人は騒音や交通渋滞を懸念します。ですが新開発はエリアの不動産価値が上がるサインです。デベロッパーは支払った開発コストを回収するために最新の販売価格を設定します。新開発は周囲の既存不動産よりも高い価格となります。プロジェクトが完了後、周辺の不動産も価格上昇が見込まれます。
（２）ブロックの変容
アッパーイーストサイドに引越しをする場合どんな街なのかは容易に想像がつくでしょう。でもクラウンハイツに移るとなると綿密な事前調査が必要でしょう。ニューヨーク市の不動産価格が高騰を続け多くのバイヤーの予算では購入不可となりました。その結果、過去には不動産投資には不適格と思われていたエリアに新しい流入が起きています。小売業やオフィスの新需要が生まれます。ブロックは素早い変容を遂げ不動産価値も上昇します。
（３）インフラ整備
地下鉄、高速道路、自転車道、遊歩道などインフラが都市の生命線です。公共交通手段とそれを支えるインフラがなければ街は機能しません。公園や図書館などの公共施設も重要です。インフラや公共施設の大幅な改善がエリアである場合、長期的な不動産価格の上昇が見込まれます。ハドソン・ヤードやエセックス・クロッシングが一例です。
（４）コーヒーショップ
ニューヨーク市は巨大なコーヒー文化を持っています。スターバックスが一つおきのコーナーに並んでいます。今では流行に敏感なアーティザンのコーヒーショップが第３の波、第４の波でニューヨークに浸透しています。コーヒーショップが不動産市場とどのように関係するでしょうか。彼らは何が起こっているのかを示すサインです。トレンディーなコーヒーショップはトレンディーなエリアを作ります。一般的にヒップカフェは賃貸コストが高くなる前に店舗を構えます。インスパイアされたコーヒーショップ、レストラン、バーやギャラリーなどはビジター誘致の鍵です。これらがエリアの人気と不動産価格を押し上げます。
（５）アーティスト
かつてアーティストのハブであったエリアがニューヨーク市の最も高価なエリアに変容したことにお気付きですか。チェルシー、ソーホー、トライベッカのようなエリアです。アーティストコミュニティーができて、その後、不動産価値が急上昇しました。高騰の可能性があるエリアを探すならアーティストを探してみましょう。アーティストが街に残る機会は年々減少していますが彼らの仕事をサポートするギャラリーはまだあります。ただそのエリアの不動産価格は皮肉なことにアーティスト自身がもはやそこに留まることができなくなるまで高騰を続けます。
（タイチ不動産 茂古沼孝）
（次回は12月第３週号掲載）
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