アマゾン第2本社「HQ2」のロングアイランドシティ
恩恵大きいが、住宅費高騰などの弊害も
先月、ネット販売の世界最大手アマゾン(本社:シアトル)はクイーンズのロングアイランドシティとバージニア州北部のクリスタルシティに二つ目の本社を分割して設置すると発表しました。カナダ、メキシコを含む238の都市を巻き込んだ激しい招致合戦にやっと終止符が打たれました。この移転に伴いそれぞれの都市では平均年収15万ドルの2万5000人の雇用が見込まれています。
不動産業界ではすでにこの需要を見込んだキャッチフレーズが見られます。「アマゾンHQ2の新しい隣人には完璧です!」や「アマゾンHQ2のロングアイランドシティへのワンストップ通勤を提供しています」。
アマゾンHQ2決定のニュースがリークされた直後にウェブ上のロングアイランドシティのバイヤー検索数がそれ以前の5倍になったとの情報もあります。
アマゾンのクイーンズへの移転はこのエリアの経済的地位に大きな躍進をもたらす可能性を秘めています。ニューヨークの住宅販売マーケットが低迷している現在、インベスターはクイーンズ西部地区に大変革をもたらすアマゾンに大きな期待を寄せています。
ロングアイランドシティの物件購入を検討している人たちは今後急激な価格の変動が起きる前に行動することが求められるでしょう。
過去15年間にこの地域に幾多の高層ビルを建設してきたデベロッパーはアマゾンの発表から最大の恩恵を受ける可能性が大です。HQ2の移転はロングアイランドシティの再開発が2000年代初めに始まって以来、建設された膨大な数の新しいスペースの需給関係を良化させる絶好の機会です。
イーストリバーの東岸部の賃貸マーケットもハイエンドの在庫で飽和状態になっており、予定される転入者の入居が待たれるところです。HQ2のニュースは慢性的な空室を満たすことを熱望している大家にとっては恵みの雨となるでしょう。サニーサイド、アストリア、グリーンポイントなど、ロングアイランドシティに隣接するエリアの住宅は長期的に需要が増大する見込みが大です。
しかし半面、現在のアマゾン本社があるシアトルで見られる弊害も指摘されています。それは住宅費の高騰や交通渋滞、地元自営店の廃業、地域コミュニティーの破壊などで、すでにHQ2移転反対の活動も行われています。
(タイチ不動産 茂古沼孝)
(次回は1月第3週号掲載)
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