〈コラム〉タイチ不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第95回

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FRBの金利引き上げの影響
住宅ローン金利上昇前の購入時期は?

コンドミニアムやコープの購入を検討されている人たちの心配事はローン金利の上昇でしょう。FRBは2008年のリーマンショック後の景気浮揚策として米国史上初のゼロ金利政策を取りましたが、その後、金融緩和の出口戦略で15年から現在までに金利引き上げを合計9回、18年だけで4回の引き上げを行いました。19年にも2〜3回程度引き上げられる可能性があることが伝えられています。今すぐ購入するのが最善なのか、ローンを利用した住宅購入のタイミングは悩ましい問題です。

ローンの金利は徐々に上昇しています。これを書いている時点の30年住宅ローン金利は平均4.62%で、前年度の3.94%から上昇しました。これは60万ドルのローンに対する月額3083ドルの返済にあたり、つまり前年度金利返済額の2844ドルと比べ月額239ドルの増額を意味します。

供給過多やローン金利上昇の影響もありマーケットが徐々に冷え込んできたことにも注意が必要です。現在マンハッタンの住宅販売価格は下落しています。17年11月のマンハッタンでの平均販売価格は110万ドルでしたが、18年11月のそれは101万ドル─。1年間で8.18%下落しました。今後この傾向が続くのか、下げ止まるのかは金利の行方とともに天秤にかけなくてはいけない問題です。

今後12〜18カ月間にFRBが行う金融政策や、債券市場がそれにどのように対応するのか、30年住宅ローン金利がどうなるのかを知る確実な方法はもちろんありません。ただ言えるのは08年の金融危機以来、FRBがその基本金利をゼロに下げ、経済を機能させ続けるために最大規模の金融緩和策を行い、その間、金利は異常に低いものでした。今日、経済はその時に比べてはるかに良い状態にあり、市場金利は経済学者たちが言うように「平均に戻りつつあります」。

これは今までの異例の低金利がより典型的な6%から9%の範囲になる可能性を意味します。今後5年から10年の間に住宅ローンの金利が安定する可能性は大です。ちなみに1971年から2018年の30年住宅ローンの平均金利は8.16%でした。

ローン金利が5%の時に借入をし住宅を購入し、もし25年にそれが9%に上昇したとしたらあなたは賢いバイヤーだと誇れるのではないでしょうか。

(タイチ不動産 茂古沼孝)
(次回は2月第3週号掲載)

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