〈コラム〉2020年、ハーレムは大きく変わる!

0

トミー富田「ハーレム浅草下町考」Vol. 68

私が住み始めた80年代は電灯も少なく薄暗かったハーレム。今や左は17階建てコンド、右は27階建てホテル&コンド

私が住み始めた80年代は電灯も少なく薄暗かったハーレム。今や左は17階建てコンド、右は27階建てホテル&コンド

アフリカ系アメリカ人の芸術・文化が花開いた「ハーレム・ルネサンス」から100年。いよいよハーレムに、大型ホテルチェーン、マリオットによる「ザ・ルネサンスホテル」がオープンします。

今年86年を迎えるアポロシアターのすぐ隣に聳え立つ27階建ての高層ビルには、211の客室と、199の住居ユニット、低層階には様々なオフィスも入り、春にはアポロオフィスも移動予定です。

ここは、1917年以来「ヴィクトリアシアター」があり、アルハンブラ・ボールルーム、ハーレム・オペラハウス、アポロシアター、と並んでいて「ハーレム・オペラ通り Harlem’s Opera Row」と呼ばれていたところ。

97年にヴィクトリアシアターが閉館してからは、画家フランコが閉まったシャッターに描いたマルコムX、キング牧師等の絵に、後にオバマ大統領も加えられ、人々が足を止めて写真を撮っていたところ。

知られざる大きな歴史の小劇場は、27階建てのうちの1階から3階まで「ヴィクトリアシアター」として外観と内装を再現され、二つのシアターが秋にオープン予定です。

ハーレムの目抜き通り125丁目(別名:キング牧師通り)と、6番街(別名:マルコムX通り)の角で、ホールフーズを背後に立ち、思いをめぐらせます。

約30年前、スパイク・リー監督映画「マルコムX」公開時のヴィクトリアシアター前の写真は今や私の宝

約30年前、スパイク・リー監督映画「マルコムX」公開時のヴィクトリアシアター前の写真は今や私の宝

左を見ると、私が好きで通っていたアフリカ系洋品店他、路面店は昨年中に全てシャッターを下ろし、17階建てビルを建築準備中。コンドとなるこの高層ビルの中には、ニューヨーク初の公民権博物館Civil Rights Museumが出来ると聞いています。

右を見ると、このメイン通りに唯一廃屋として残っていた4階建てビルも、ガラス張りの17階建てコンドとして生まれ変わろうとしています。

ディジー・ガレスピー、ラングストン・ヒューズ、デューク・エリントン、ファッツ・ウォーラー等が、帽子をかぶり、お洒落をして通り過ぎていたこの街が、ホールフーズの袋を持ち、ジーンズをしっかりハイウエストにベルトで固定した新住民の街となりました。

そして、ハーレム初の大型ホテルがオープンすると、第3次ハーレム・ルネサンスが始まりそうです。

〈筆者プロフィル〉トミー富田(トミーとみた) 東京浅草生まれ。ハーレム在住40年の音楽プロデューサー。1994年にアジア人初の「Dr. マーティン・ルーサー・キングJr. アワード」を受賞。ハーレム商工会議所会員。アポロ劇場ボードメンバー。30年続けている大人気の「トミー富田のハーレムツアー」は、日本からのファン、リピーターが多いことでも有名。

■トミー富田のハーレムツアー
電話:646-410-0786
ウェブ:tommytomita.com

〈過去の一覧〉

〈訃報〉
筆者のトミー富田さんは1月11日、他界されました。これは生前最後のコラムです。編集部一同、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 ニューヨーク Biz編集部

Share.