姿勢のお話(5)
〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第23回】
姿勢シリーズの最後は、立つ姿勢、歩く姿勢です。立つ・歩くという行為は基本中の基本なので、無意識と強い繋がりがあります。そのため「歩き方を変えよう!」と決意しても、なかなか身に付いた悪い癖を変えることは難しいものです。
そこでまず、正しい姿勢になるために重要なのが、頭の位置・胸部の位置・骨盤の位置の三つの「積み木」を重ねることです。
コンピューターの画面や携帯を眺めていると頭が前に出て胸が縮み胸部の「積み木」が後ろにずれてしまいます。この姿勢が身に付いた状態で立つと胸部の重みが後ろにいき、それに対してバランスを取るために骨盤の「積み木」を前に突き出してしまいます。これにより現代人に多い、独特の腰を反った猫背スタイルが出来上がります。正しい姿勢はこれら三つの積み木が足の甲の真上に重なり、足の底面全体に均等に体重がかかっている状態です。
悪い姿勢を変えるためには体操で身体の硬さをほぐして積み木が正しく重なるようにし、さらに筋力トレーニングで綺麗に重なった「積み木」のポジションを無意識に覚えさせていく必要があります。理学療法では体操やストレッチの仕方がわからない人に正しく指導をしていきます。さらに体操だけでは十分にほぐしきれない部分を徒手療法(手技)で調整したり、悪い癖が身に付いてしまった人には神経トレーニングで身体を変える治療も行っています。
〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ) 理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/