痛みに惑わされずに動きに注目

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解剖学の知識から「体のナゾ」を解く理学療法士(1)

瓜阪美穂「理学療法士が教えます」身体が痛い本当の理由【第24回】

理学療法士ってどんなことをするのですか?という質問をよく受けます。実例を基に3回にわたりご説明します。

◇ ◇ ◇

Aさんは右側の首と肩に3週間ほど痛みがあり、その原因が分からず困惑した様子で来院されました。

理学療法士は身体の動きのスペシャリスト。まずは首の動きをチェックしましたが、問題なし。次に肩の関節の動きを調べたところ、右肩が内側に回らない状態であること見つけ、深く探ると腕と肩甲骨をつなげる肩の靭帯(じんたい)がきつい事も発見しました。この靭帯がきついために腕を動かすたびに肩甲骨が必要以上に動いて、首につながっている筋肉に負担をかける状態になっていたのです。さらに話を伺った所、Aさんは趣味でゴルフをやっており、コーチから肘を伸ばして打つ練習を指導されていました。実は肘を伸ばしてスウィングをすると腕の動きが大きくなり、その腕につられて肩甲骨がさらに大きく動いてしまいます。その為、首につながっている筋肉に負担がかかりすぎて痛みを起こしていました。原因が分からないと思っていた痛みが、実は新しく習っていたゴルフの練習が負担となっていたことが分かりました。

首が痛ければ首をマッサージ、というのが普通の発想ですが、解剖学の知識を使えば、肩関節のきつさを解くと首に負担をかけていない身体の状態に戻り、痛みをなくすことができると理解できます。治療では、もちろん痛みを和らげることにも専念しますが、肩関節の柔軟性を戻す事が本当の治療です。次回は怪我の原因となっている肩関節の後ろ側に対する治療のお話です。

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/

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