「オールアメリカンオープン空手道選手権大会2017」展望-海外からの注目選手

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優勝候補は仏のトゥセウ選手

海外からの注目選手―五来克仁師範が展望

五来克仁師範
国際空手道連盟極真会館主催の国際大会「オールアメリカンオープン国際空手道選手権大会2017」が24日、ニューヨークで開催される。今年の開催場所も昨年に引き続き、アッパーウエストにあるジョン・ジェイ・カレッジ内体育館。1200万人の道場生が所属する極真会館の同大会には北米に限らず、日本・欧州・ロシア・南米など世界中から選手が集まり、毎年熱い戦いを繰り広げ、世界各地の強豪選手が出場する。今号では海外から名乗りを上げる注目の選手について、国際空手道連盟極真会館国際部長でニューヨーク道場の五来克仁師範にお話を伺った。

 

22回目、「継続は力なり」
強豪選手との戦い、経験の場にも

今年で22回目を迎えるこの大会はもはや恒例のイベントになっており、「継続は力なり」という言葉を実感しています。オールアメリカンという大会名でありながら、出場する選手陣は米国に限らずインターナショナルです。もともとは南米・北米・中米中心の選手たちによって行われるアメリカ大陸の大会として始まりました。現在は世界大会の縮小版といった形で、アメリカ大陸以外の日本・欧州・ロシア・ニュージランドからの選手も参加しています。

◇ ◇ ◇

日本で4年に一度開催される世界大会に集結するのは192人。この大会では3日間にわたって行われ優勝者を決定します。一方でオールアメリカンは一日で行われ、参加選手は多いときは40人前後、少ないときは20人弱のエリート選手が集結。世界大会を集約するような大会として確立されてきました。

◇ ◇ ◇

オールアメリカンのポイントは、世界大会では強豪選手たちは通常大会最終日のみに戦うケースが多いのですが、ここでは早い段階で手合わせができること。参加選手たちにとって素晴らしい経験の場になるとともに、国際交流の意味合いも持ちます。ファンの人たちにとっても、今大会は普段は目にすることが難しい組み合わせが短時間の間で観戦できるのです。

 

各地の選手の特徴

欧州勢の選手の特徴として、数多くの国が存在するので良い意味で国間のライバル意識が高く、先月フランスのリヨンで行われたヨーロッパ選手権では、少年や壮年を含め500人以上の選手が参加しました。

ロシアは一国が大きく、支部道場数も多いです。多くの選手がいる中で互いに切磋琢磨できる環境にあるので、選手層のすそ野も広い分、強い選手が育ちます。

南米は一時期、オールアメリカン大会でブラジル勢が常に上位を占める時代が長く続きました。ここ数年は、ブラジル以外にもボリビア、アルゼンチン、コロンビアなど他の南米諸国が大会への参加を見せています。空手界では強豪選手が輩出されていませんが、こちらも全体のレベルアップを見せており、期待が集まるエリアです。

 

注目選手

アントニオ・トゥセウ選手(フランス)(ANTONIO TUSSEAU)初段、26歳、82キロ、185センチ

アントニオ・トゥセウ選手(フランス)(ANTONIO TUSSEAU) 初段、26歳、82キロ、185センチ

 

今年は約30人の男子選手が参加します。今回、優勝候補とされるのは、フランスのアントニオ・トゥセウ選手。2014年のヨーロッパ体重別大会でミドル級チャンピオン、フランス大会でミドル級で優勝という断トツの勝利を収めています。「シークレット・ウエポン(秘密兵器)」と呼ばれ、上段膝蹴りなどの蹴り技で相手をKOする確率の高い選手で、今大会でも期待が寄せられる選手です。

 

アンドレイ・ズボレフ選手(ロシア)(ANDREI ZUBOREV)初段、27歳、79キロ、178センチ

アンドレイ・ズボレフ選手(ロシア)(ANDREI ZUBOREV)初段、27歳、79キロ、178センチ

 

昨年2位のアンドレイ・ズボレフ選手は、ロシア・チャンピオンです。今年4月に東京で行われた世界ウエイト制選手権で中量級で2位に入賞しており、波に乗っている選手です。

 

アレハンドロ・ナバロ(スペイン)(ALEJANDRO NAVARRO)3段、40歳、90キロ、180センチ

アレハンドロ・ナバロ(スペイン)(ALEJANDRO NAVARRO)3段、40歳、90キロ、180センチ

 

次に名乗りを挙げているのがスペインのアレハンドロ・ナバロ選手で40歳になるベテラン選手です。今年5月に行われたヨーロッパ選手権では3位に入賞していますし、2012年の全日本、また2013年の世界ウエイト制選手権で重量級を制するなど、輝かしい実績の持ち主です。

 

ソウタ・ナカノ(米国)2段、22歳、82キロ、170センチ

ソウタ・ナカノ(米国)2段、22歳、82キロ、170センチ

 

米国勢からの注目選手は、日系人選手のソウタ・ナカノ選手。彼は今年4月に行われた世界ウェイト制選手権、重量級で第4位に入賞しています。22歳の若手選手で今後の成長が楽しみな選手です。

日本勢、若手3人参加

日本勢の注目選手の1人目は、中島千博選手です。6月初めに大阪で行われた全日本ウェイト制選手権の重量級で優勝しています。オールアメリカンまで2週間しかありませんが、大きなダメージが残っていなければ、連続優勝の可能性もあります。

 

中島千博(日本)2段、22歳、82キロ、170センチ

中島千博(日本)2段、22歳、82キロ、170センチ

 

2人目は、加賀健弘選手。彼も23歳若手の中量級選手です。常に上位に食い込んでくるハングリー精神に今回も期待したいです。

 

加賀健弘(日本)2段、23歳、79キロ、173センチ

加賀健弘(日本)2段、23歳、79キロ、173センチ

 

3人目は、山川竜馬選手です。全日本大会重量級では常に上位入賞しています。昨年の全日本選手権では、ロシアの強豪ゴダルジ・カパナーゼ選手から足掛け下段付きの技ありで勝利を決めています。カパナーゼ選手は昨年のオールアメリカンオープン空手道選手権大会で優勝しており、今年5月に下旬に大阪で行われた重量級でタイトルを獲得しています。

 

山川竜馬(日本)初段、22歳、100キロ、185センチ

山川竜馬(日本)初段、22歳、100キロ、185センチ

 

ブラジルから3人

若手2人と、ベテランであるディオゴ・シルバ選手は、昨年の南米選手権で優勝をしています。かなり以前から名が知られており、以前世界チャンピオンに輝いたブラジルからの二人、フランシス・フィリオ選手やエヴェルトン・テイセイラ選手が活躍していた時期に若手で輩出された選手です。2010年にはオールアメリカンもベスト8に入賞しています。今大会で国際大会の復帰を目指しているといえるでしょう。

ディオゴ・シルバ(DIOGO SILVA)(ブラジル)初段、37歳、90キロ、182センチ

ディオゴ・シルバ(DIOGO SILVA)(ブラジル)初段、37歳、90キロ、182センチ

 

24日、NYで開催

国際空手道連盟極真会館 オールアメリカンオープン空手道選手権大会2017
【日時】6月24日(土)午後3時30分~(開場:午後3時)
【会場】ジョン・ジェイ・カレッジ内体育館
【場所】524 W 59th St(bet 10th and 11th Ave), NYC
【問い合わせ】212-947-3334、www.kkny.net
【チケット】 一般30ドル(当日35ドル)、リングサイド席(2列目)60ドル、VIPリングサイド席(1列目)75ドル(いずれもサービス料別)
【チケットサイト】http://fight.bpt.me/

(2017年6月17日号掲載)

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