日米双方で長く愛され続ける歴史あるテーブルウエア
高級テーブルウエアブランドとして知られる「ノリタケ」。米国人家庭にパーティーに招かれると、数代前より伝わるノリタケの食器セットでもてなされることも多く、同ブランドの浸透ぶりに驚く日本人は多い。19世紀後半、ニューヨーク出店から歴史が始まるノリタケの魅力を紹介しよう。
歴史
同社の前身は1876年に東京・銀座で創業された商社「森村組」。創業者の森村市左衛門は開国後、日本から金が海外へ大量に流出したことを憂い、福沢諭吉の勧めもあり、貿易会社として同社を設立、同じ年に、販売店として「Morimura Brothers」をニューヨークの現在のソーホーに設立した。同店は日本製雑貨、陶器を販売する店として知られていく。89年、パリ万国博覧会で欧州の陶磁器を見た森村のひらめきでディナープレートの製造に乗り出し、1914年、日本初のディナーセットを完成させる。当時はドルの為替レートが圧倒的に有利であったことも手伝い、同社商品は米国社会の中にどんどん浸透していった。
陶磁器からセラミック、工業製品・エンジニアリングまで
現在、同社では、食器部門のほかに、工業機材部門、セラミック部門、エンジニアリング部門の3部門がある。
まず、工業機材部門では食器の研磨技術を応用した研削・研磨工具を扱いその技術力は世界でもトップクラスを誇る。次にセラミック部門ではニューセラミックや食器の転写印刷技術を応用した厚膜回路基板、蛍光表示管などを扱い、ニューヨーク・タイムズ社の本社ビル1階ロビーの電光掲示板は同社の製品が使用されている。最後にエンジニアリング部門では、食器を焼成する技術を応用し、工業製品において「焼成」過程が必要になる部品のための窯(かま)を製造・販売している。陶磁器を作り上げる上で必要な技術から、新しい形で世の中に貢献するビジネスを追求した結果であり、創業者の大きな志と重なる部分も多いのが興味深い。
商品を手に取って確認するにはブライダルコーナーかサンプルプログラムを利用
日米双方で長く愛され続ける同社のテーブルウエアは贈答品として愛用され、ブライダルカウンターのギフト・レジストリー・コーナーに配置されることが多い。
自宅で手軽に確認したい人には「サンプルプログラム」が好評。同社ホームページの専用サイト(下記参照)からは、通常の通信販売のように購入できるのだが、届いた商品をじかに触れて、イメージと違う場合は同社が送料を負担する形で返品でき、商品代も返金もされる(ただし未使用などの条件はあり)。デパートなどへ出向かないで安心して試せるのがうれしい。
【サンプルプログラム】noritakechina.com/sample-info.html
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年6月28日号掲載)