間寛平

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LAから4800㌔走破しNY到着 皆の応援がパワーに

「ガチ!」BOUT.58

全行程ランニング2万キロ、ヨット1万6000キロの計3万6000キロを移動する前人未到の旅。マラソンとヨットで地球を一周するプロジェクト「アースマラソン」に挑戦中のお笑い芸人、間寛平さんが8日、ロサンゼルスから約4800キロを走破し、ニューヨークに到着した。その直後に北米大陸を走り終えた気持ちをうかがった。(聞き手・高橋克明)

 

マラソンとヨットで世界一周「アースマラソン」

まず、たった今ニューヨークにとうちゃ、到着されまして、

 いま、噛(か)みましたね。

はい(笑)。スミマセン。今のお気持ちをお聞かせください。

 そうですねぇ〜。めちゃめちゃ、うれしいです、はい。つらい事もいっぱいあったんですけど、このゴールで皆、吹っ飛びました。

実際にアメリカ(北米)大陸を横断されて、この国の印象は走る前と変わりましたか。

 (走る前は)アメリカってすごい怖い国やってイメージがあって、出発前には特に田舎の方を走ったら誰に何をされるか分からんとか、いろいろ、聞かされてたんですけど…。まあ、アメリカ人がこんなに優しいとは!(力説)。びっくりしました、はい。

米国人のイメージが激変

それは応援されている方が優しかった、と。

 皆ですね。皆、優しかったです。たまに道端で止まって休んでたら、すぐに「何かあったんか」って言うて声を掛けてくれるし。前ね、僕がしんどい時、周りにスタッフが立ってたら、暴走族の兄ちゃんたちが横切った後、ブワーってまた戻って来て「何かやられてんのか!?」言うて、助けようとしてくれたり。正義感の強い人が多いなあと思って。後は、わっかいやつらで「おれはおまえに何をしてやったらええんや、何もしてやれるもんが今はない」と。取りあえず今はこれを履けって、自分が履いてた靴下脱いで。

(笑)。ちょっと、迷惑…。

 でも、もう、泣けてくるんですよ。

ありがたい話ですねえ。

 ありがたいっすよ。みんな、家に招待してくれて、ごちそうになったり、ごちそうになったり、後、ごちそうになったり。

(笑)。それだけ、ごちそうになると、アメリカ人のイメージが寛平さんの中で変わるはずですね。

 はい。全く変わりました。

沿道からの応援されている日本人の声は、寛平さんの耳には入ってきていましたか。

 めちゃめちゃ、エネルギーというかパワーになりますね。足、痛ぁーーて痛ぁーて、もうどうしようもない時に、生まれて2〜3カ月くらいの赤ちゃんを抱いたお母さんが「写真撮ってください」って来られて、ええよー、言うて、その子を抱いた途端、足(の痛いの)が治るんですよ。あれ、不思議なもんやなー思てね。たぶん、赤ちゃんがパワーくれてんねんかなーってね。とにかく、声援ってめちゃめちゃ力になりますよ。

ニューヨーク出航前、取材に応じる間寛平さん(左)ら=14日、ノースコーブ

ニューヨーク出航前、取材に応じる間寛平さん(左)ら=14日、ノースコーブ

今現在の体調はいかがでしょう。

 あのー、ペンシルベニアの時に道が上がったり、下がったり、上がったり、下がったりで、ものすごく足を痛めて、もう無理かなぁ、っていうとこまでいったんですけど、スタッフに「地球一周走るためには、けがとか故障とか走りながら治していかな(達成は)でけへん」って言われて、「それくらいの気持ちでやってくれ」って。ものすごく大変だったんですけど、でも言われた通り、走りながら治しました、はい。

途中、一番印象に残った場所はどこでしょう。

 (即答で)ペンシルベニアです。あんなとこ走るもんじゃないです。

(笑)

 ぎゅるるる〜って、坂を上がったらすぐ下がりよんねん。下がった思たらすぐ上がりよんねん。あんなもん、絶対無理!

逆に美しかったとこはどこですか。

 まー、カリフォルニアとか砂漠はすんごく良かったですねぇ。

ここまで走れたのはなぜでしょう。

 牛乳! ここまで200リッター以上飲んでます。毎日だいたい3リットルか4リットルくらい飲んでました、はい。

途中で、もうヤメたいと思った事は…。

 (さえぎるように)それはなかった、はい。あの、何年かかっても(地球)一周は絶対回ろ思ってますから。

今まで世界各国のさまざまなマラソン大会に出場されましたが、やはりこのアースマラソンは寛平さんにとって特別でしょうか。

 特別ですねぇ。1日、1週間で終わるようなレースじゃないから。集大成やと思てます、はい。

全米の都市を回られて、最後に入ってきたニューヨークは師匠の目にはどう映ったのでしょう。

 いやぁ〜、おっそろしい街ですねえ。あそこの、ワシントンブリッジやったっけ。そこから入って、こっち見た時に、(イースト・リバーに向かって)飛び込んだろうかな、いうくらい興奮しました。以前も来た事あんねんけど相変わらず、すごいっすねえ、この街は。

最後にニューヨークで頑張っている日本人にメッセージをいただけますか。

 はい。こんなにぎょうさんの日本の方が応援に来てくれるとは思っていませんでした。ホントにうれしいです。本当にありがとうございました。皆さんニューヨークで頑張ってください!

ファンらの歓声に応えながら、大陸横断ゴールのニューヨークを目指す間寛平さん=8日、ハドソンリバーパーク・ピア45

ファンらの歓声に応えながら、大陸横断ゴールのニューヨークを目指す間寛平さん=8日、ハドソンリバーパーク・ピア45

◎インタビューを終えて

間寛平という人間の「ヒューマンドラマ」でもあり、世界の今を記録する「ドキュメンタリー」でもあるアースマラソン。北米大陸約4800キロを走りきった後の、真っ黒な日焼けした顔でする「ちゃちゃ、まんぼー」は、ちょっとかっこ良く見えました。道中、応援に駆け付けた人に披露するギャグも好評だったとか。「あんなにアメリカ人にパンプキンがウケるとは思ってもいませんでしたね〜」。すでに先日14日にはフランスに向けヨットで大西洋を出発。2016年の東京オリンピック・パラリンピック招致大使でもある寛平さんはギブアップする事なく、大西洋、欧州、そしてアジアを経由し、来年11月以降に日本でゴールを迎えます。

間寛平

間寛平(はざま かんぺい)

職業:お笑い芸人

1949年高知県生まれ。70年に吉本興業に研究生として入社。74年になんば花月で初の座長公演を務める。同年にリリースしたレコード「ひらけ!チューリップ」で大ヒットを記録した。その後も憎めないキャラクターと不条理なギャグ〝アメマ〟〝かいーの〟などを連発して、関西で絶大な人気を得る。89年ごろから東京に進出し、数多くのバラエティーに出演。吉本新喜劇以外での舞台活動も精力的に行っている。86年に始めたマラソンは有名で、ギリシアの鉄人マラソン「スパルタスロン」では246キロを過去に3度も完走するほどの、脚力を誇っている。2016年の東京オリンピック・パラリンピック招致大使。アースマラソン公式サイト:www.earth-marathon.com

 

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

 

(2009年7月18日号掲載)

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