夏帆 インタビュー 自分の分身くらい、今までのどの作品よりも等身大の役でした

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夏帆

BOUT. 290
女優 夏帆に聞く

主演作「ブルーアワーにぶっ飛ばす」、NYの映画祭で上映

女優・夏帆さんが主演する映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(日本公開:2019年10月11日)が7月28日、ジャパン・ソサエティーで開催された映画祭「JAPAN CUTS」で北米初公開された。ニューヨーク滞在中の夏帆さんに、作品に対する思いやニューヨーク在日本人へのメッセージなどを伺った。(聞き手・高橋克明)

ニューヨークに到着されたのは…。

夏帆 先週の日曜日。もう5日たちますね。

では、時差ボケもすでになく。

夏帆 やっと昨日くらいに治りました(笑)。今回、この(映画祭の)ために来たんですけど、ニューヨークは去年も、一昨年もプライベートで来ていて、なので今回も5日前に一人で入って。

お好きなんですね。

夏帆 大好きな街ですね。なので、この仕事が入ってうれしかったです。なので、5日前に。(笑)

映画祭にはカンヌにも、釜山にも出席されていらっしゃいました。海外でご自身の出演作品を観るのはどのようなお気持ちですか。

夏帆 やっぱりうれしいですね。でも、海外のお客さんがどんな反応するんだろうってすごく気にはなりますけど。特に今回の作品は、決して大きな事件が起きるわけでもなく、日常の些細(ささい)な出来事、繊細な感情を描いているので、外国の方にどういうふうに伝わるんだろうって。そこはすごく興味ありますね。

誰にでも当てはまるような日常や感情が映し出されている作品ですよね。

夏帆 そうなんですよ。それも普段、人に言わないような、本当に小さな小さな心の棘(とげ)というか、葛藤だったり、悩みだったり、そういう作品なので、翻訳もすごく大変だったと聞いています。

微妙なニュアンスが非常に重要になってくる作品ですものね。

夏帆 そう。言葉遣いもすごく独特ですし、少しくずれた日本語でもあるし。茨城弁をどういうふうに字幕で表現するのか、監督も大変だって言ってました。大好きな作品だけに、どう伝わるのか、楽しみですね。

夏帆

演じられた役の砂田は、夏帆さんから見て、ご自身と近い女性ですか。それともかけ離れている?

夏帆 うーん…。近い役だったとは思います。私が日々感じている悩みや葛藤を砂田も抱えていて。箱田(優子)監督は、ご自分で今作の脚本を書かれたので、女性ならではの視点で書かれていると思います。箱田さんがご自身のことを描いているので、砂田=箱田さん、と捉えられがちなのですが、でも、私がこの脚本を読んだ時にも、あ、これは私の話でもあるなってすごく感じたんですよ。それは、きっと見てくださるお客さまもそう感じてもらえる作品なんだと思います。

女性であれば、共感できるストーリーである、と。

夏帆 夏帆が等身大でそのままスクリーンの中にいるのか、砂田を演じているのか、あるいは、箱田監督自身なのか、観客一人一人の姿なのか、そのあたりが曖昧な感じに映ったら面白いなと思います。これは素なの? 夏帆(自身)なの? みたいな。

等身大で演じられたんですね。

夏帆 そうすることが、きっと見てくださるお客さんにいちばん伝わるんじゃないかなって。葛藤や悩みをそのまんま、演じました。

であれば、同時進行でテレビドラマでも演じられていたので、ご自身の中で混同されませんか。

夏帆 現場に行くと、スタッフも衣装もメークも違う、全く違う環境になるので、意外と大丈夫だったりもするんですけれども、ただ、何か、本当に、頭の中はずっと忙しいですねぇ(笑)。演じる役が多ければ多いほど、自分の時間は全くなくなります。今日はこの人のことを考えて、明日はあの人のことを考えてって感じで休みの日も常に(演じる)誰かのことを考えていますね。

今作の日本公開は10月です。

夏帆 早く見てもらいたいですね。とにかく、この作品を見た皆さんがどういう反応をするんだろうって。それがすごく気になりますね。やっぱり今までのどの作品よりも等身大の役だったなって思うので。後半は特に自分の分身じゃないですけれども、演じているのか演じていないのかよく分かんなくなってきたくらいで。(笑)

演じていて、そういう感覚になることは…。

夏帆 なかなかないです。それくらい自分に近い役だなって思いました。

それでは最後に読者にメッセージを頂けますか。

夏帆 私なんかが言えることなんてないんですけれど、でも今回こっちに住んでいる日本の方にたくさん会って、すごく影響を受けました。同じ日本人なんですけれど、何か、アイデンティティーをすごく持っていらっしゃる方が多いな、と。自由さだったり、強さだったりをその人たちからすごく感じることができて、私の方がメッセージを受け取った感じですね。この5日間で会った日本の人たちは本当に皆さんカッコよかったです。すごく自分を持っているし、揺るがない何かを持っている感じがしました。うん、私がすごく影響を受けましたね。

「JAPAN CUTS」で舞台をあいさつする(左から)シム・ウンギョンさん、夏帆さん、箱田優子監督=7月28日、ニューヨーク(© Mike Nogami)

「JAPAN CUTS」で舞台をあいさつする(左から)シム・ウンギョンさん、夏帆さん、箱田優子監督=7月28日、ニューヨーク(© Mike Nogami)

●作品紹介●
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』Blue Hour
(日本公開:2019年10月)
若手映像作家の発掘を目的とした「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」で審査員特別賞を受賞した企画の映画化で、夏帆とシム・ウンギョンという日韓の実力派女優が共演したオリジナルストーリー。
30歳でCMディレクターをしている砂田(夏帆)は、東京で日々仕事に明け暮れ、理解ある優しい夫もいて、他人からには充実した人生を送っているように見える。しかし最近は、口を開けば毒づいてばかりで、すっかり心が荒(すさ)んでしまっていた。そんなある日、砂田は病気の祖母を見舞うため、親友の清浦(シム・ウンギョン)とともに大嫌いな地元の茨城に帰ることになる。いつものように清浦と他愛ない会話をしながら茨城に向かうが、実は今回の帰省に清浦がついてくるのには、ある理由があった。
第43回香港国際映画祭ヤング・シネマ・コンペティション部門正式出品。監督・箱田優子、出演・夏帆、シム・ウンギョン、渡辺大知、黒田大輔ほか。
【公式サイト】http://www.blue-hour.jp/

『ブルーアワーにぶっ飛ばす』Blue Hour

(c)2019「ブルーアワーにぶっ飛ばす」製作委員会

夏帆(かほ)職業:女優
1991年東京都生まれ。2003年にCMデビュー。07年に初主演を務めた映画『天然コケッコー』で日本アカデミー賞、報知映画賞などで新人賞を受賞し、映画・テレビで活躍する実力派の女優として活躍している。主な映画出演作に『うた魂♪』(08年)、『海街diary』(15年)、『友罪』(18年)、『ビブリア古書堂の事件手帖』(18年)、『きばいやんせ!私』(19年)など。

(2019年8月24日号掲載)

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〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

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