日本の規格にはまらず「出ている」人たちこそ応援したい
「ガチ!」BOUT.130
LA、NYで講演
経済評論家、公認会計士としての活躍とともに、ベストセラー作家としても注目されている勝間和代さん。実践的な人生の戦略術などを語り、メディアにも多々登場、人気を博している。そんな勝間さんが人材紹介・派遣のTOP New Yorkの創立20周年記念セミナーにゲストスピーカーとして招かれ、ロサンゼルスとニューヨークで講演する。日本一忙しい彼女に時間を取っていただき、 スカイプインタビューを決行。渡航前にお話を伺った。(聞き手・高橋克明)
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勝間さんはニューヨークという街にどういった印象をお持ちですか。
勝間 もともと私、東京生まれですのでニューヨークはすごく好きな街なんですよ。東京っていろんな情報にアクセスできたり、いろんな人に出会えますよね。ニューヨークはそのアップグレード版みたいな感じで、あらゆる最新なものに触れることができるじゃないですか。それは目に見えるメディアやイベントだけでなく、(人の)考え方や行動、内側に潜んでいるものも含めてすごく参考になるんですね。なので、年に1回は出版の仕事であったり、会社訪問であったり、訪れていると思いますよ。
勝間さんにとっては特別な街というより、ごく自然でいられる場所ということですね。
勝間 そうですねー。地下鉄に乗ったり、ぶらぶら歩いたり。書店が好きなのでバーンズ・アンド・ノーブルはよく行きますね。で、1階にあるカフェで甘ったるいブラウニーを食べたりして。どうして、こんなジャリッとする甘過ぎる砂糖を入れるんだろう、とか考えながら。(笑)
よくご存知ですね(笑)。勝間さんは今、日本でも一番お忙しい方ですが、今回、ニューヨークでのセミナーの依頼を引き受けた理由はなんでしょう。それこそ“利益”だけを考えた場合、日本だけでセミナーをされた方が効率的ですよね。
勝間 人によって「何のために仕事をするか」という理由はそれぞれ違うと思うんですよ。私にとっての仕事の最大の理由は「収入」ではないんですね。それより自分が好きなことをしたい、好きな人とつながっていたい、いろんな場所に行って新しいことを学びたい、それらの方が仕事の目的になっているんですね。で、今回すごく仲のよい和田裕美さんと一緒にセミナーをやらないかとの話をいただいて、せっかく行くのであれば、今ニューヨークがどんな状態になっているか、一通り見てこられたらいいなと。もちろん最優先としてセミナーがあるわけですが、他にもいろいろとエール大学さんにもお伺いすることになったりしたので、そういう形でいろんな輪が広がりますよね。皆さん仕事というとどうしても収入の最大化を考えてしまうんですけれども、「自身の欲求の最大化」って呼んでいるのですが、自分がしてうれしい、楽しいというものの最大化を考えて仕事をした方が幸せだと思うんですよ。要は自分が好きだと思うことに周りの条件を寄せていく。どんなにお金をもらっても自分自身の欲求が満たされない仕事はやめた方がいいと思いますし、逆に面白いと感じればタダでもやった方がいい。だからある意味、我慢しちゃいけないってことだと思います。よく我慢は美徳のように言われますが、その意味のない我慢をどうやって避けられるか、むしろ避けることに集中することが大切だと思いますね。
勝間 北米をはじめ、海外に出られている方は、現状に対して新しいことをしたい、新しいことを学びたい、新しいことを考えたいというチャレンジ型の人たちだと思うんですよ。私はそういった方々をできるだけ応援したいと思ってるんですね。私も家族がいなければやっぱりニューヨークとか行きたいなって思いますもん! 実は私の従姉妹が今、ニューヨークに住んで働いてるんですよ。今回の渡米でも時間が合えばランチかお茶か一緒にできたらね、と言ってるんですが、その彼女は昔からすごくやる気のある子で高校から留学してそのまま住んじゃってるんですね。そういう日本人いいじゃないかって思うんです。ある意味、日本という国の規格にはまらずに海外にいろんな意味で「出ている」。そういう人たちこそ本当に応援したいですね。
うれしいお答えです。(笑)
勝間 ホントにそう思いますねー。あとは「リミッターを外す」という表現がよく使われますが、自分の限界の枠を外す、と。でも、そんなもの自分の限界が分かってりゃ外れるに決まってるんですよ。それが分からないから問題なのであって。それをどうやって自然に外していくか。そのようなお話ができればなと思っています。
勝間和代(かつま かずよ)
職業:経済評論家
東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶応大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、経済評論家、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。【ウェブ】www.katsumaweb.com
〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2012年11月10日号掲載)