NYの印象とライブへの意気込み
「ガチ!」BOUT.54
4月に通算17作目となるシングル「大丈夫だよ」を発売した、川嶋あいさん。31日、セントラル・パークで開催される「JAPAN DAY」に 招待され、ライブを行うことになっている。日本のミュージックシーンの第一線で活躍する川嶋さんに、ニューヨークの印象や、歌手としての活動についてお話を伺った。(聞き手・高橋克明)
5月31日 JAPAN DAY @ CENTRAL PARK
以前、ニューヨークで語学留学されてたとのことですが。
川嶋 はい、1カ月半くらいですけど。
去年、いらっしゃったんですね。
川嶋 はい、そうですね。
マンハッタンに?
川嶋 はい、マンハッタンです。
じゃあどこかですれ違った可能性も…。
川嶋 あはは。はい、ありますね。
普通に川嶋あいが街を歩いていた。
川嶋 (笑)はい。普通に歩いてました。
なぜ、留学先にニューヨークを選ばれたんでしょうか。
川嶋 直感ですね。昔、カーネギーホールで歌った事もあったので(10歳のときにカーネギーホールの舞台で演歌を熱唱した経験を持つ。実は鳥羽一郎さんとは家族ぐるみの付き合いとか。)、そういう縁もあって、もう1回ニューヨークに行って勉強したいなって思ってたので。
なるほど。在学中は地下鉄構内で路上ライブもされたとのことですが。
川嶋 はい、やりました。
どちらの駅でやられたんですか。
川嶋 えーっと、なんだっけ、あのオイスター・バーのあるとこです。
グラセンですね。
川嶋 え?
あの、グランドセントラル・ステーションですね。
川嶋 そうです、そうです、グランドセントラル。
そうですか……。え! グランドセントラルでやられたんですか!? 知らなかったです。
川嶋 特に告知もしなかったので。
本当の意味で路上ライブだったわけですね。日本人がわーっと集まってきたりとか…。
川嶋 いえ、日本人は全くいなかったですね。アメリカの方ばかりで。
日本語で歌われたんですよね。
川嶋 日本語で、はい、歌いました。
その時の感想はいかがだったでしょう。
川嶋 日本と全く同じ感覚でした。場所が違うだけで普通に歌って、普通に拍手もらって…。違ったのはお金を入れるボックスを置いてなかったにもかかわらず、皆さん、いいなあと思ったら、その場に置いていかれたりするんですね。
チップを。
川嶋 はい。それはそれで、うれしかったですね(笑)。というより海外で路上(ライブ)ができてうれしかったです。
やはり、川嶋あいにとっては路上ライブが原点、という感じでしょうか。
川嶋 そうですね。ふるさとのような感じです。
デビューのきっかけになったという意味でも。
川嶋 はい。今の自分があるのは路上ライブをやった時のあの最初の一歩があったからだと思ってるので。
アメリカでのパフォーマンスもここ最近増えてきていらっしゃいます。
川嶋 そうですね。ワシントン(DC)でもやって(今年4月にワシントンDCで行われた「さくらまつり」にも出演。「大丈夫だよ」など4曲を歌った)、今回は(JAPAN DAYとは別に)ニューヨークでもあるし。
DCでの「さくらまつり」の時はいかがでしたか。日本でのライブの時と何かお気持ちの上で違いはありましたか。
川嶋 そうですねー。(アメリカでのライブが)初めてだったので、すごい不安と緊張がありましたね。言葉も文化も違う人たちに、どういうふうに受け入れられるのかなーって思っていたんですけど、こちらの方って皆さんフレンドリーで、すごく盛り上がってくれるので、何か日本では感じる事のできない興奮とか達成感を感じることができて…。うん、楽しめましたね。
そして、いよいよ「JAPAN DAY」が近づいてきました。お気持ちはいかがでしょう。
川嶋 本当に名誉なことなので楽しみな気持ちでいっぱいっていうだけですね。
ありのままを発信できれば
当日は日本人もアメリカ人も他にも世界中の方がいっぱい来られます。伝えたいメッセージはありますか。
川嶋 「JAPAN DAY」というイベントのエネルギーに乗っかりつつ、ありのままの自分の思いを歌を通して発信できればいいなって思います。ありがとうの気持ちを込めて歌うのでそれが届けばいいなって。
流されずに生きていきたい思いを曲に
最後にニューヨークの川嶋さんのファンの方たちにメッセージをいただきたいのですが。
川嶋 えっと、私自身、路上ライブを続けてきた中で感じたことなんですけど、やっぱり踏み出す勇気というか、その一歩がきっと夢に近づいていく事なんだなと思うし、挑戦していく心を持ってこれからも歩んでいってほしいなと思いますね。
川嶋さんもこちらで生活されて、ご自身の音楽に何か影響はありましたか。
川嶋 はい。この街ってすごく自己主張していかないと生きられない街なので、いい意味で人目を気にしない適当さを身につける事、あとは自分自身とちゃんと向き合って流されずに生きていきたいなって思いました。そんな意思表示をしてるような曲も書けたし、いろんな意味で勉強になりましたね。
◎インタビューを終えて 実際にお会いする川嶋さんはイメージ同様、透き通っていて口からこぼれる言葉も空中で凍結して床に落ちて壊れそう。この仕事をしているとまれに特別な才能を持った「演じていない」本物に出会う事があります。川嶋さんは歌う事以外、他の事にはあまり興味がないといった雰囲気に見えました。生の彼女の歌声を聞くためだけでも当日はセントラルパークに行きたいと思いました。
川嶋あい(かわしま あい)
職業:歌手
福岡県出身。1986年2月21日生まれ。2003年、I WiSHとしてあいのりの主題歌「明日への扉」でデビュー。翌年から「川嶋あい」として活動。オリコンシングルチャートで2週間連続1位、90万枚以上のセールスとなり、一躍有名になる。等身大のメッセージを伝える作品で、女子高生を中心に高い人気を誇る。06年は3作連続トップ10入りの快挙を成し遂げた。07年は2度目のあいのりの主題歌、映画「ワンピース」の主題歌と大型タイアップの楽曲を2カ月連続リリース。4月にリリースした「大丈夫だよ」はオリコン初登場10位を記録。6月にはニューアルバム「Simple Treasure」の発売を控えている。公式サイト:www.kawashimaai.com/
〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2009年5月23日号掲載)