BOUT. 283
心理カウンセラー 心屋仁之助に聞く
6月13日、NYで初のトークショー
著書累計470万部超のベストセラー作家で、心理カウンセラーの心屋仁之助さん。SNSや講演会でも活躍、公式ブログが月間1000万アクセスで、武道館での独演会に5500人を動員など話題を集めている。ニューヨークで初となるトーク&ライブショーを6月13日に控える心屋さんに、お話を伺った。(聞き手・高橋克明)
今回、ニューヨークでのトークショー開催の経緯を教えてください。
心屋 去年の夏に初めてニューヨークに行って、面白い街だなって。で、秋にはまた行っちゃいました。エド・シーランのライブのためだけに。それがまた楽しくって。
いきなり2回も!
心屋 で、今年の1月にもうちの奥さんの誕生日だったので、また連れてきて(笑)。その時に、ニューヨークの知り合いと3人で食事して、その際、すでに決まっていたオーストラリアのライブの話をしたら、「だったら、こっちでもやってください」って言われて。じゃあ、やろうかって感じで。
トントン拍子で。
心屋 僕自身、ニューヨークという街がすごく気に入ったので。でも、いざスタートしてみたら、ビザの問題とか大変なことばかりで諦めかけたこともあったんです。それでも知り合いの方々が、会場の下見に連れて行ってくれたり、弁護士を紹介してくれたり、周りに助けられて、先々月くらいに、やっぱりやれるようになった感じですね。
まるでこの街に呼ばれているような感じですね。
心屋 次の6月で、1年の間に4回行くことになりますから(笑)。でもなんど行っても楽しくて、毎回、日数が足りないと思ってしまう。来るたび、また戻ってきたいと思う街ですね。
それまで来られていなかったのが意外な気がします。
心屋 いや、僕、この仕事するまでに佐川急便にいたんで、その時に報奨旅行で、一度来てはいるんです。でもね、もう、まったく別物! その時は、会社の旅行であったし、英語を話そうとか、何か楽しもうという思考がなかったですね。この仕事を始めて性格がかなり変わって、で、変わったあとに来ると、ニューヨークってものすごく楽しい街で。
確かに、この街は受け身だけは楽しめない街かもしれないですね。
心屋 昔は、楽しむ力がなかったんですよ。楽しむ力よりも、ちゃんとする力ばかり考えてたんですよね。ちゃんとしっかり時間を守って予定通り計画通りみたいなことで生きてたので。そうしたらなかなか外国なのでうまくいかないんですよ。この仕事を始めてから、ちゃんとするということを全て放棄したんです。するとこんなに自由で楽しい街はないなって。
楽しもうとしたら、こんなに楽しい街はない、と。
心屋 もうね、本当に別の街かなと思うぐらい楽しかったですね。すっかりハマりました。(笑)
そのニューヨークでのトークショー。来場された方に、何を伝えられたいでしょうか。
心屋 僕ね、人生が苦しかった頃というのは頑張り屋さんだったんですね。で、頑張り屋さんていうのは、頑張ることをやめられなくて。で頑張ること、役立つこと、ちゃんとやることをやめられなくて。人に迷惑かけることを何より恐れて。気持ちがずっと緊張してる状態。常にずっと何かを恐れていたんですね。
人生を楽しめていない状態だった、と。
心屋 まさにそうですね。そんな状態で40代半ばまで生きていました。そんな時に今の奥さんと出会って。うちの奥さん、動物みたいなんですよ。動物みたいな生き物に、ちゃんとすることを求めれば、求めるほど、こっちが苦しくなるんですね。
なるほど。(笑)
心屋 猫に「おすわり」っていくら言っても、座らないんですよね。
あはは。
心屋 でも、そこで、ちょっと待てよ、僕がこの奥さんみたいな生き方をしてみたら、どうなるだろう。彼女に合わせたらどうなんだろうと。
ちゃんとするのをやめてみる。
心屋 そう。頑張るのやめて、仕事も何分の一かに減らして、で、ステージでしゃべるにしても本を書くにしても、何するにしてももう全部適当というキーワードで、サボる、怠ける、ふざける、みたいなそういうノリでやり始めたら、テレビの話が来たり、本がどんと売れたり、お客さんがどっさり集まるようになったんですよね。
今の短い話だけでも、いつも何かと戦っているニューヨークの日本人には、聞いてもらいたい内容ですね。
心屋 で、その根っこをたどっていくと答えは一つだったんですよ。「お母さんを幸せにしたい」という思いだけだったんですね。どういうことかというと、お母さんが不幸に見えた、かわいそうに見えた、お母さんを助けたい、困らせたくない、笑顔にしたいと思ってずっと頑張ってきたってことに気付いたんです。頑張り屋さんの根っこはそこに行きつくんですよ。つまり、自分が小さな頃、お母さんの顔を思い出した時に、いつも笑顔だったか、いつも悲しそうだったかによって、その人の頑張り度がどっと変わるんですね。
…なるほど。
心屋 どうやら、僕たちは、母親を幸せにしたくて生まれてきてるみたいですね。お母さんを幸せにしようと思って生まれてきたのに、お母さんがいつまでも悲しい顔をしてたり、助けようと思っても、一人で頑張ってる顔だったり、お父さんにいじめられてる顔だったり、お母さんに関する悲しくて、ネガティブな思いが、頑張り屋さんを作ってしまう。サボれない人生を、ゆっくり楽しめない人生を作ってしまう。そんな法則に気がついちゃったんですよね。
目から鱗(うろこ)です。
心屋 僕自身がそうでしたから。それを40(歳)、50(歳)まで引きずってきた。お母さんを幸せにしようとして、ああしたら喜ぶかな、笑顔になるかなって頑張ってきてるのに、頭の中の母は、一向に、幸せそうな顔をしてくれない。そうしたら腹が立ってくるんですよね。これだけやってるのにと、愚痴を言う。そこで、僕も生き方を変えて、もうお母さんのことを助けるのやめようと。僕の中のお母さんは悲しそうに見えるけれど、実は顔が悲しいだけであって、あれはあれで幸せに生きてるんだということにして。お母さんが例えばお金に困ってる、体調が悪い、お姉ちゃんにこんなこと言われたとか、いろんな愚痴を言ってきても、全部無視することに決めたんです。もうね、ガン無視して今まで、そのたびに、せっせと田舎に帰ってたのも全部やめて、お母さんは勝手に幸せになってください。私と関係ありません、という冷たい自分になって、バサっと1回シャッター下ろしたんです。そうすると、母親の笑顔が増えたんですよ。今まで僕が頑張ってきたのは一体何だったんだと思うぐらい(笑)。自分たちの頑張りって必要ないんだと。この人は幸せにしなくても幸せな人なんだということを信じることができたんですよね。
…なるほど。
心屋 この話をライブで、講演会でしていたら、やっぱり会場に来てくれる人の9割以上の方が子供の頃、お母さんのことをかわいそうだと思ってた人たちなんですよ。それを見つけた時から、親不孝を勧めて全国を今回ってます。(笑)
結果、自分が幸せになるという、最高の親孝行ですね。
心屋 そうなんです。結局、男女問わず、みんな盛大にマザコンなんですよ。盛大にお母さん、お母さん、お母さん、お母さんと言いながらずっと生きてるはずなんです。
実際に口に出さずとも。
心屋 そう! それが当たり前すぎて、世間の常識すぎて、疑う余地もなかったんですよね。でも、今度、自分が親になった時に、自分の子供がそんなに親のこと考えて、一生懸命親孝行するんだって、必死になって頑張ってたとしたら、何て言います?
自分のことを考えて、自分の人生を生きなさい、と。
心屋 ですよね。絶対にそう言うじゃないですか。「おまえ、もういいから、自分の好きなことやれ」って言いたくなるじゃないですか。なのに、僕たちは、一生懸命、親孝行しようとして頑張るんですね。
先生のおっしゃるとおりですね。僕は死に目に会えなかった母のために、頑張ろうと今までやってこられた側面もありますが、そのストーリーは勝手に自分で作っちゃってた気がします。
心屋 お母さん、「アタシのことなんて忘れていいから、自分の人生を生きて」って言ってますよ。ずっとそう言い続けてるはずですよ。お母さんは幸せにならないから、自分の力不足なんだとか、自分がちゃんとしてないからダメなんだとか、そういう自分を責め始めるという間違った仕組みを見つけてから、まずは、盛大に「頑張り屋」を集めて、今の話をすることから始めました。ダメ人間に、迷惑をかける人間に、サボる人間になっていこう、ポンコツをやっていけば、皆、だんだんだんだん安心してくるんですよね。
本当の自分に気付いていくプロセスになるわけですね。
心屋 それでも、ちゃあんと人の役に立っている。自分がダメ人間になれば、そこから助ける人も増えていく。自分を解放していくことで、本当の自分に気付けば、人にも優しくできるようになりますしね。今までの自分だったら、ニューヨークでライブをやるとなったら、多分、一生懸命動いていました。今は担当さんに全部丸投げして、全部彼女に動いてもらってるんですよね。「りえちゃん、お願いしま〜す」って言って、それで終わりなんですよね、今は。(笑)
人は、頼られることも、喜びかもしれないですね。最後に当日来られる読者にメッセージをお願いします。
心屋 あなたの知らなかった生き方をお伝えします、みたいな感じですね。あなたの人生が安定して、安心して毎日を送れる、そんな魔法の言葉をたくさん持っていきます。それをぜひ、受け取りに来てください。(にっこり)
★ インタビューの舞台裏 → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12476247483.html
心屋仁之助(こころや・じんのすけ) 職業:心理カウンセラー
兵庫県生まれ。著書が65冊を超え、累計470万部を突破するベストセラー作家。心理カウンセラー。現在は京都を拠点として、全国各地でセミナー、講演活動やカウンセリングスクールを運営。人気テレビ番組『解決!ナイナイアンサー』で人気沸騰。公式ブログ「心が風に、なる」は月間1000万アクセスの人気ブログ。2015年から音楽活動を本格的に開始し、2年連続で「Zepp」を回る全国ツアーを敢行、それぞれ4000人近い観客を動員、17年には、初の武道館ライブ「心屋10周年 心屋仁之助 独演会」で、5500人以上の観客を動員。現在も音楽活動を積極的に行っている。www.kokoro-ya.jp/about/
(2019年5月25日号掲載)
■イベント情報■
ニューヨーク上陸!チャリティイベント開催
・日時:2019年6月13日(木)18時開場、19時開演
・会場:Baruch Performing Arts Center The Engelman Recital Hall
(バルークパフォーミングアーツセンター)
・住所:55 Lexington Ave, New York, NY 10010
参加申し込み詳細サイト:
https://ameblo.jp/kokoro-ya/entry-12457076991.html
★ インタビューの舞台裏 → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12476247483.html
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〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。