May J. (2) 当たり前に感謝にして、特別な想いで歌い続けたい

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May J.

BOUT. 297
歌手 May J.に聞く

「All as one music Japan」プロジェクト参加

「All as one music Japan」─。新型コロナウイルスによる世界的パンデミックの中、世界の、日本の医療従事者に想いを届けるため、プロのミュージシャンたちが演奏したミュージックビデオのプロジェクト。ここ、ニューヨークでも多くの医療従事者がこの音楽に励まされ、話題になった。メインボーカリストのMay J.さんにお話を伺った。(聞き手・高橋克明)

「All as one music Japan」。中央がMay J.さん(ユーチューブから)

「All as one music Japan」。中央がMay J.さん(ユーチューブから)

今回「All as one music Japan」プロジェクトにおいて、3本のミュージックビデオをユーチューブ上にアップされ、大変話題になっています。この動画を制作するに至った経緯を教えてくださいますか。

May J.(以下:M) 今、このタイミングだからこそ、日本だけでなく海外にいらっしゃるミュージシャンの方々ともコラボレーションできて、また海外に向けて発信できる機会なのかなって感じたんですね。ここ数カ月、私だけじゃなく、多くのアーティスト、ミュージシャンが音楽を届ける場所がない状態が続いて、それでも、音楽を必要とされる方は世界中にいっぱいいらっしゃると思って…。

こういう時だからこそ、むしろ多いと思います。

M ですよね。(この動画を届けたいメインターゲットの)医療従事者の方々はもちろん、それ以外の方々でも、この時期、不安に思っている人たちはいっぱいいると思うんですよ。そんな人たちに、少しでも前を向いていけるようなパワーを与えたり、少しでも安らぎを感じる時間を与えたいなって思って。なので(音楽プロデューサーの)吉木さんにお話を頂いた際には、すぐに参加させていただきました。

二つ返事で。

M はい、むしろありがたかったですね。(新型コロナウイルスの影響で)予定していたイベントやライブが中止になった中、(そういった方々に向けて)今の自分にできることは何だろうってずっと模索していたタイミングでもあったんですよ。実際に1人で、弾き語りをして歌っている動画をアップしたんですが、やっぱりミュージシャンの方々と一緒に歌うことで、より世界観が伝わるんじゃないかなとか思っていたので。なので、本当に(オファーを頂いて)うれしかったです。

May J.

ニューヨークの日本人からも本紙に多くの感想、お問い合わせを頂きました。ニューヨークの医療現場で働く日本人看護師さんからも「涙が出ました」というような連絡が来ました。

M うん…それを聞いただけで、やって良かったって思います。

ただ、実際のライブと違い、観客不在の中、歌い手としてはやりづらさはなかったですか。

M そうですね、やっぱり…まず自宅で歌うことも今までなかったですから。(笑)

あ、ご自宅で撮影されたんですね。

M 外出自粛(要請期間)中ですから。まず、自分でスマホをセッティングして、で、立ち位置も計算して、ズレないように意識しながら歌って…(笑)。結構、難しかったです。

何か…無名の新人歌手みたいな…。

M あはは。スタジオではないので、音の問題も、映像の問題も、技術的に難しかったですね。まず、ミュージシャンの方々が演奏して送ってくださった音源をイヤホンで聴きながら、テンポも合わせなきゃいけないし…。いつものような完璧な環境で歌うのとは、また全然違いましたね。

撮り直しも…。

M (さえぎるように)何回も!(笑) やぁっと完璧に歌えたーって思ったあたりで、飛行機の騒音が入ってきたり(笑)。でも、逆に言うと、自分ひとりで撮れる時間がたっぷりあるわけなので、何回だって撮ってしまいますよね。(スタジオ収録と違って)誰にも迷惑をかけない(笑)。一日中やってもいいので、もう、自分が満足するまで、本当に何回も繰り返し撮ってました。

ちょっと、楽しそう(笑)。それでもやはり、ライブでのMay J.さんを早く見たいファンは多いと思います。ご自身も早く、皆さんの前で歌いたいというお気持ちではないでしょうか。

M はい! もちろんですね! 6月に開催することになっていたライブが11月に延期になったのですが、それが無事に開催できたらいいなって今、願ってます。今回のことで、好きなアーティストのライブに早く行きたい!と思っている方もいっぱいいらっしゃると思うし。

ご自身の中で、今回のコロナの前と後でいちばん変わったことは何でしょう。

M 今まで以上に当たり前だったことに対して、感謝しなきゃいけないって。今までの人生で、こんなにも長い期間、ライブで歌わない日が続くとは予想したこともなかったので…。去年の12月のライブから、それ以降、約6カ月やってないんですね。その時は、こうなるなんて、もちろん思ってなかったし、今まで当たり前のように、年間100本以上ライブをしていた時もありましたし…。なので、当たり前のことがどれだけありがたいことだったか。毎回毎回すごく特別な気持ちで、これが最後だって思いを持ちながら、歌わなきゃいけないって強く、感じました。

May J.

ニューヨークは現在、経済活動再開に向けてやっと第2段階に移行されました。もちろん、日常に戻るまでまだまだ時間はかかりそうです。最後に、May J.さんから、ニューヨークの日本人に励ましのメッセージを頂けますでしょうか。

M ロックダウン(都市封鎖)が解除されても、まだまだ油断できない状態だと思います。日本も、外出できる状況にはなってますが、大丈夫かっていうと、簡単に判断できる状態ではない。もちろん、私もライブだったり、コンサートだったり、エンターテインメントが、これからどうなっていくんだろうっていう不安は持っています。それでも、今はやっぱり我慢をするしかないな、と思っていて、でも、いつか、またライブで、みんなで、盛り上がれるような、そんな日常が戻ってくる日を祈ってます。なので、皆さんも、今は大変だと思いますが、いつか戻ってくる日常のために、今、できることを頑張ってほしいと思います。

May J.

May J.(メイジェイ) 職業:歌手
日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち、幼児期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りをもこなす。圧倒的な歌唱力とパワフルかつ澄んだ繊細な歌声、そして前向きでポジティブなメッセージが共感を呼び、幅広い世代から支持を受けている。2006年メジャーデビュー。記録的な大ヒットで社会現象にもなった、14年公開のディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌(エンドソング)を担当。同年の第65回紅白歌合戦に初出場。15年1月には自身初となる、日本武道館の単独公演を開催。08年より、NHK WORLDの海外向け音楽番組「J-MELO」のメインMCを担当。

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〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

(2020年7月11日号掲載)

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