BOUT. 292
プロテニスプレーヤー 大坂なおみに聞く
USオープン出場
テニスの全米(US)オープン開幕を3日後に控えた8月23日、女子シングルスの大坂なおみ選手(日清食品)が滞在先でもあるニューヨーク唯一の日系ホテル、「ザ・キタノホテル ニューヨーク」で記者会見を行った。試合への思いやニューヨークでのエピソードなどお話を伺った。 (聞き手・高橋克明)
チャンピオンとして、ニューヨークに戻ってこられました。今のお気持ちを聞かせてください。
大坂 とても光栄に思ってます。初めての経験なので、やっぱりうれしいですね。ニューヨークはとても大好きな街で、ポジティブな印象で、自分のテニスにもすごくいい影響をくれる街だと思います。実は、少しの期間、ここで暮らしていた時期もあるので、ちょっとだけ懐かしい気持ちにもなりますね。
かなり前からニューヨーク入りされたと聞きました。時差ボケはとっくに解消されていますね。
大坂 ジサボ…? あ、ジェットラグ(笑)。トロントから来たので、ジェットラグはないです。同じ東海岸ですから。それにニューヨークには1カ月前から来てますので。(にっこり)
そうでした、失礼しました。昨年、USオープンで優勝してからご自身を取り巻く環境は大きく変わったと思います。その変化をご自身はどう感じられていますか。
大坂 確かに、多くのことが変わったと思います。グランドスラムを2度優勝して(女子テニス・シングルスの世界ランキング)1位になったことは、多分、多くの人にとって以前の私からは考えられなかったことだと思うので……。確かに、戸惑いはありますね。今、どのように自分の人生をナビゲートすればいいのか。去年の今ごろとは全てが変わったので。
戸惑いもプレッシャーもある、と。
大坂 ただ、人生は常に変化していくものなので。それにプレッシャーを感じるのは、私が世界チャンピオンだということだから。なので、そのプレッシャーを跳ね返せるとも思っています。あとは、いつも自分自身に「いいプレーをする、し続ける」ということだけを言い聞かせていきたいと思っています。与えられた環境の中で、自分のできることを、できる限りの力でやっていくだけですね。
前回は、勝ち続けることの難しさを実感した、ともおっしゃっていました。
大坂 でも、今は、あまり気にしすぎてないですね。とにかく今を生きるようにしています。未来のことばかりを考えるのは、テニスプレーヤーとして、それだけですごく大変です(笑)。(なぜなら)対戦相手は毎回、変わるので、試合もそれぞれ異なります。もちろん勝ち続けることを目標にしているけれど、今は、今のことだけを考えたい。なのでディフェンディングチャンピオンとしての戦い方ではなく、挑戦者の気持ちでただ、トーナメントに集中するつもりです。
テニス以外の話では、先ほどの記者会見で、K─POPがお好きだとおっしゃっていましたが。
大坂 BTSが好きです(にっこり)。たくさんのいろんな国の音楽を聞いています。新しい音楽を探すのが好きですね。でも、いつもアニメのオープニングで知ることが多いです。アニメのオープニングの曲をたくさん聴いてきました。今でもそうですね。
最後にニューヨークに住む、日本人にメッセージをお願いします。
大坂 人生を楽しんでください。あなたのすることは、全てに意味があるはずです。どんな些細(ささい)なことでも、人生で起きることを楽しむ、ということ。だって、楽しくないと思うことをするのって意味ないと思うんですよ。それが私からのメッセージです。(にっこり)
★ インタビューの舞台裏 → ameblo.jp/matenrounikki/entry-12517519587.html
大坂なおみ(おおさか・なおみ) 職業:プロテニスプレーヤー
1997年10月16日生まれ。大阪府大阪市中央区出身。身長180センチ。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。日米二重国籍で、選手登録は日本。日清食品ホールディングス所属。マネージメントはIMG。拠点はフロリダ州・ボカラトンのエバートテニスアカデミー。姉の大坂まりもプロテニスプレーヤー。男女を通じてアジア初の世界ランキング1位。日本人初のグランドスラムシングルス優勝。プレミア・マンダトリー優勝。日本人史上3人目となるWTAファイナルズ出場。WTAアワード年間最優秀新人賞。
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〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2019年9月7日号掲載)