“明日ですべてが終わってもいいという思いで”
「ガチ!」BOUT. 84
日本を代表するロックバンド「X JAPAN」が、長年の夢であった北米ツアーを決行。北米7都市を回り、先月10日、ニューヨークライブでその幕を閉じた。興奮冷めやらぬライブ翌日、プロデューサーでドラマーのYOSHIKIさんにお話を伺った。(聞き手・高橋克明)
初のNYライブ 大盛況で幕
昨夜のニューヨーク・ライブは大盛況で幕を閉じました。今のお気持ちを聞かせてください。
Y(YOSHIKI) そうですね、(同時に)昨夜で北米ツアーのすべてが終了したので…なんて言うか「達成感」ですかね、今の気持ちを言い表すと。無事に終わったのでホッとしてます。この2週間以上、ずっとテンションを高めていたのでちょっと疲れちゃったのも事実ですね。やりきったって感じです。
全米を横断する全7公演でした。
Y 今考えたら、よくやれたな、と(笑)。「奇跡」と言っていいんじゃないですかね。
会場となったローズランドシアターはこちらでは有名な老舗コンサートホールですが、5万人の東京ドームを満員にするXにしては収容人数的にもったいないという声も出ていました。
Y 今回(の北米ツアー)はすべてニューヨークに限らず、LAもシカゴもだいたい2000人から4000人ほどの規模で回ってたので。うん、確かに、日本と比べると東京ドームの10分の1以下になるってことですよね。
ファンにはとても贅沢(ぜいたく)な空間でした。
Y でも、なんて言うんだろう。それだけに来てくれた人たちが身近に感じられたというか。それはそれですごく楽しかったです。いいな、って思いましたね。
ニューヨークだと、米国人というより世界中のファンが一斉に集ってる様子でした。僕の周りでもいろいろな国籍の方が号泣していました。
Y いろいろな人種の人たちに来ていただいたことは、(ステージ上から)見ていても分かったのでうれしかったですね。最終日ということもあったのかな、盛り上がっていただいてることがちゃんと伝わってきました。ファンの方に愛されていることは何よりありがたいことですから。
昨夜10月10日はToshIさんの誕生日でした。あのサプライズ(スタージ上で誕生日ケーキをプレゼント)はYOSHIKIさんのアイデアですか。
Y そうです。メンバーにも黙ってて、一人で勝手にやりました。(笑)
ToshIさんの笑顔が印象的でした。
Y そうだといいです。喜んでくれたら、それで。
そしてステージ上ではHIDEさんの名前も出されていらっしゃいました。
Y (かぶせるように)一緒でしたから。心の中では、ずっと。彼とずっと一緒に演奏してきたと思っているので。その気持ちはこれからも変わることはないと思います。変わらないです。
今朝のNY地元紙に「かつてさまざまな伝説をつくったX JAPANが、ここ米国でも確かなつめ跡を残した」というような内容の記事が掲載されていました。
Y でも、今までもどこであれ毎回、毎回、全力でコンサートをやってきて、全力でぶつかってきたので。ただ、その成果がこうやって表れてきたのはとてもうれしいですよね。間違えてなかった、というか。
ただ、ファンの方が今、一番心配しているのはYOSHIKIさんの体調のことだと思います。
Y そうですね。LAに戻ったらすぐに病院に行って体中の検査を受けようと思っていますけど、確かに体中痛いですね、今(苦笑)。全力でやりきったので。
甲状腺のみならず、首、のどにも爆弾を抱えて、関係者の方からも今回は本当にヤバいかもしれないという話を聞きました。
Y うーん…。明日、死んでもいいと思ってやってますので。明日ですべてが終わってもいいと思って。
本気でおっしゃっているのが、伝わってきます。
Y そうですね。(にっこり)
最後にYOSHIKIさんにとってニューヨークとはどんな街でしょうか。
Y やはり、高層ビルの景色が東京と似てるっていうか。それがとても自分には合ってる気がしますね。
YOSHIKIさんといえば、レコーディングスタジオもLAにあるのでニューヨークのファンは西海岸にジェラシーを感じていると思います。(笑)
Y でも今日もちょっとCIMX―FMというラジオ局に行って出演してきたんですけど、これからはちょこちょこ来ると思いますよ、ニューヨーク。多分、LAとニューヨーク、行ったり来たりの生活になるんじゃないかなあと思ってます。何より、この街にはコンサートでまた戻ってきたいと思いますね。
YOSHIKI 職業:音楽プロデューサー、ドラマー、ピアニスト、作曲家
X JAPANのリーダーで、プロデューサー、ドラムとピアノを担当。
公式サイト:www.yoshiki.net、X JAPAN公式サイト:www.xjapanmusic.com/
YOSHIKI、米国でアニメキャラに
パネルディスカッション @ Comic−Con
アニメイベント「コミコン(コミック・コン)」で10月9日、「スパイダーマン」や「アイアンマン」など数々の人気キャラクターを生み出して来たマーベルコミック創立者のスタン・リー氏との共同で、自身がヒーロー役のコミック「ミュージックマン」の制作を発表した。リー氏は、YOSHIKIとその音楽、さらにYOSHIKIが情熱を傾けるドラゴンをベースにしたスーパーヒーローを考案。デザインはYOSHIKIのイメージにもあったゴシックスタイルを取り入れ、また、ヒーローとそのストーリーは音楽をテーマにしたものとなる。
パネルディスカッション後、会場のファンのために急きょ行なわれた「質問コーナー」。
米国人からの質問に英語で答えるYOSHIKI
Q 米国と日本のファンの違いはなんですか?
Y もちろん皆さん大好きです。とても情熱的で、(ファンからの大きな歓声で、続きを遮られる)
Q なぜ英語のアルバムを発表することになったのですか?
Y 英語が話せるようになったからです(笑)。10年前は全然話せませんでしたが、今はコミュニケートくらいはできるようになったので、(ファンからの大きな歓声で、続きを遮られる)
Q 天皇陛下御即位10年をお祝いする国民祭典での演奏はどんな気持ちでしたか。
Y もちろん、とても光栄なことでした。クラシカルピアノは4歳からやっていたので…。でも、もちろん皆さん(ファン)の前で演奏できることも光栄に思っています。(大歓声)
Q 英語でのニューアルバムはいつごろリリースされますか?
Y SOON…。この10年ずっと言っていましたが(笑)。来年には発表するつもりです。約束します。半分は昔の曲からで、半分は新曲になると思います。(大歓声)
Q ツアーが終わったらどうしますか?
Y 休みたいですね(笑)。ライブで叫びすぎて、声が出ないので、声を戻したいです。でも、欧州、南アメリカのツアーにも回りたいと思っています。(欧州のファンら号泣)
Q 次回の日本でのライブはいつですか?
Y 4月か5月、(ファンからの大きな歓声で、続きを遮られる)
Q 観客にダイブする時はどんなお気持ちですか?
Y 何も考えてないかなぁ(笑)。シカゴでは(ファンに引っかかれて)背中に大きな傷ができてしまったけど、(ファンからの大きな歓声で、続きを遮られる)
〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。
(2010年11月6日号掲載)