バイオリン通じ、困難乗り越える力
子どもを生涯支え続けることに
米国流の自由な教育か、規律正しく、厳しくしつける日本流の教育か…。米国で子育てをする上でどのような教育方針にするのか迷う方も多いのではないだろうか。メトロポリタンオペラなどで演奏を続ける傍ら、バイオリン教室も主宰する福田千尋さんは、ハーレムの音楽学校「Opus118」で10年以上音楽教育に携わってきた。“子どもの才能を伸ばす教育とは何か”。バイオリンを通して福田さんが見てきたものを語っていただいた。
親の教育方針は時代と共に流行があり、マンハッタンでは近年、子どもにさまざまな習い事をさせることが流行っているのだとか。これには落とし穴があると福田さんは話す。
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子どもの可能性を広げてあげたいという思いから、さまざまな習い事に連れていく親御さんがいますが、子どもができないことにぶちあたった時に、できないのならば別の事をやればいい、と簡単に辞めさせてしまう傾向にあります。才能とは、すでにあるものばかりではなく、引き出されることで伸びることもあります。私たち大人も、粘り強く取り組むうちに適性や才能が引き出された、という経験を一度はしているはずです。
「うちの子にこんな粘り強さがあったなんて」と、驚かれるご両親をたくさん見てきました。バイオリンは、簡単に音が出ない弦楽器の一つですが、姿勢を正し、弓を正しく持ち、粘り強く練習を重ねていくことで、ひくことができるようになります。そしてバイオリンを通して、音楽を表現できるようになるのです。
ここまでのプロセスで、子どもの頑張りは3割、親の忍耐が7割必要とされます。失敗を繰り返すわが子を励まし続けられるかが勝負です。コツコツ頑張って困難を乗り越える力を一度身に付ければ、その気持ちは、生涯にわたって、子どもたちを支え続けてくれるでしょう。
Times Squareサテライト教室(新規開設)説明会
【日時】1月24日(日)午前11時〜11時45分
【場所】音楽スタジオ「ミチコ・リハーサル・スタジオ」
【住所】149 W 46th St, New York, NY 10036
※申し込み・問い合わせはEメールか電話で
【Eメール】info@chihirofukuda.com/
【電話】917-319-2178
【ウェブ】www.chihirofukuda.com/
〈プロフィル〉ふくだ・ちひろ 福田千尋バイオリン教室主宰。東京芸大、ジュリアード音楽院を経て、ニューヨーク日系人会音楽コンクール優勝等、ヴィオラ奏者として国際的な演奏活動を続ける傍ら2005年よりハーレムの音楽学校Opus 118 Harlem School of Musicでバイオリンを教え始める。同校の若い教師を育てるためのティーチャー・トレーニングプログラムのトレーナーとして後進の指導、弦楽科のコーディネーターとしてマネージメントにも携わっている。