小粋なファイン・レストラン「ブレンハイム」
しゃれたたたずまいの小さな店が軒を連ねるウエストビレッジの一角、おんどりの看板が目印の隠れ家的レストラン「ブレンハイム(Blenheim)」。2016年ミシュランガイドに選出された名店だ。
直営ファームから新鮮な食材を入手
料理を口に運ぶと苦味、甘み、うま味など、素材それぞれが本来持つ味が、ときには調和して、ときには一つ一つ際立って感じられる。フレッシュで味の濃い素材をぜいたくに使用できる秘密は、アップステートのキャッツキルに広がる直営ファームにある。
「ブレンハイム・ヒル・ファーム」と名付けられた直営ファームでは、豚や羊などを飼育する他、レストランで使用される各種野菜が栽培されている。1740年代から農地であったエリアを、同レストランの共同経営者モートン・ソルバーグさんとミン・イェさんの二人が改築し、スプラウトなど鮮度が大切な野菜までもフレッシュな状態でキッチンへ運べる現在の業態をつくり上げた。
欧風と米国のコラボ
同店のメニューにスタイル名はない。あえて言えばニュー・ノルディック(北欧風)とニュー・アメリカンのコラボレーションだが「素材へのリスペクトを込めて良さを引き出そうとしているだけで、スタイルに当てはめることはしていなくて」とシェフのジョーダン・アンダーソンさん。「(素材に)リスペクトがあれば、どう料理したら一番おいしくなるかは自然と分かるので、それをただ、追求しています」
野菜なども、市場で買うものより色合いが濃く美しいので、皿に並べると絵画や彫刻のようになってしまうのだそう。
リゾットにパスタ、鴨ローストと多種類
「キノア・リゾット」(18ドル)は、キノアをバターナッツ・スクワッシュ、ブラックトリュフとバターのリッチなソースでリゾットに仕立てたもの。ゴロゴロとボリュームたっぷりにカットされたサンチョーク(キクイモ)はホクホクの食感で、リッチなリゾットの味付けとマッチ。チップスは同じくキクイモから作られていて、異なる食感が生み出すリズムが楽しい。
「チェスナット・アニョロッティ」(17ドル)は刻んだ栗の詰め物パスタ。溶かしたチーズの深みにさわやかなシナモン、セロリアック(根セロリ)の隠し味を利かせた絶品。「ロング・アイランド・ダック」は地元で捕れた鴨のロースト。柔らかい身に塩味を利かせて仕上げている。白いクリームを合わせていただこう。デザートのオススメは「パンプキン・チーズ・ケーキ」(10ドル)。濃厚なケーキの味にイチジクのさっぱりした味わいがぴったり。
上質なのに気取りすぎていない店内のムード、丁寧なのにフレンドリーで温かみのある接客に心も癒やされる。大切な友達や家族と訪れたい小粋なレストランだ。
Blenheim
【住所】283 W 12th St, New York, NY 10014
【電話】212-243-7073
【営業時間】月:午後5時半〜10時、火・水:午後5時半〜10時半、木・金:午後5時半〜11時、土:午前11時〜午後11時、日:午前11時〜午後10時
【ウェブ】www.blenheimhill.com/
(2017年2月11日号掲載)