子供向け音楽教室
母親「粘り強く練習、持続力ついた」
東京芸術大学・ジュリアード音楽院卒業の福田千尋さんが主宰する「福田千尋バイオリン教室」は3歳以上の子供が対象。新年度が始まる9月には、毎年数多くの問い合わせが寄せられるという。実際バイオリンを始めると、子供たちにはどんな変化があるのか…。今回は、同教室でバイオリンを始めて10カ月の琉英君(6)、海偉君(4)兄弟のレッスンを取材、母親のみつ子さんにお話を伺った。
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元気に走り回って遊ぶタイプで、元々は静かに楽器を演奏するタイプではなかったという琉英君、海偉君兄弟。「バイオリンを始めて、根気強さ、忍耐力が身に付いたと感じています。」とみつ子さん。スポーツが得意な二人にとって、バイオリンはこれまでの習い事の中で一番「成果が出るのに時間がかかる」習い事だった。姿勢や楽器の角度に気を使いながら、毎日練習をコツコツ積まなければ、うまくならないので「最初は心配でしたが、親が驚くほど粘り強く練習し、少しずつ上達していくうち、持続力がついてきました」。
特に琉英君は、「この努力がどこかに向かっていて、努力を積めば達成できるゴールがあるのだということを自分で理解している様子」だという。何度やってもうまくいかずに、失敗し、修正され、学び、少しずつ上達していく喜びを6歳にして既に体験している。
「1曲弾けた時には、自然と顔がほころんでいるのです。それを見て、この経験はきっと今後の人生で役立つだろうと、心から思いました」とみつ子さん。以前は恥ずかしがり屋だった二人が積極的になったことにも驚かされたそう。
レッスン中の様子からもその成果が見てとれる。福田さんは、バイオリンの持ち方、姿勢、弓の角度など演奏に必要な基礎知識を丁寧に指導する。その顔をまっすぐ見つめ、真剣な表情でバイオリンと向き合い、根気強く一音一音を奏でていく二人の姿に「物事を簡単に諦めてはいけないのだと大人の側が学んでいます」。(みつ子さん)
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レッスンでは先生と二人でのデュオ演奏なども盛り込まれ、技術だけでなく、音楽を楽しむ耳と心も育まれている。レッスン時間は年齢や性格を考慮して決められる。
福田さんは2005年と08年にニューヨーク日系人会音楽賞も受賞した実力派演奏家で、現在もサイトウキネンオーケストラ、モーストリー・モーツァルト・オーケストラ、メトロポリタン・オペラ他で演奏を続けている。
〈情報〉【連絡先】917-319-2178
【ウェブ】www.chihirofukuda.com
【Eメール】info@chihirofukuda.com
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年9月20日号掲載)