ハリウッドでの仕事なども手掛けていきたい
誰もが憧れる映画や舞台など華やかな業界。その世界を衣装デザイナーとして支える若き才能がニューヨークにいる。衣装デザイナーの増田沙智(ますだ・さち)さんだ。
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スタイリストのアシスタントを経験後、デザイナーとして有名服飾メーカーに数多くの服飾デザインを提供。2007年4月、キャリアアップを目指し、ニューヨークに単独渡米。日系の写真撮影プロダクションでインターンをしながら、ステージデザインやコスチューム、ライティングデザインなどを大学で学び、映像業界や舞台の関係者とつながりを作り上げた。
衣装の仕事の面白い点は「いろいろなクリエーターの方と仕事ができることです」と増田さん。プロジェクトベースの仕事なので、プロジェクトが変わるたびに、たくさんの才能と出会う。
「例えば映画なら、最初は台本をもらうところからスタート。監督だけでなく、俳優や女優とも打ち合わせします。役柄によって衣装デザインを変えますが、演じ手の性格や好みも衣装のイメージに影響します。私がどんなデザインを作るかが、演技にも影響していくのでやりがいも責任も感じます」
ダンス・グループ「Jennifer Muller / The Works」の舞台「Miserere Nobis」は、若くして娘を亡くした作者の知人と、亡くなった女性にささげられた作品。尼僧をイメージした増田さんの衣装デザインが高い評価を得た=写真1。
ニューヨークの映画祭「Soho International Film Festival」の公式トレイラーで担当した主人公の衣装デザインも”個性的で素晴らしい”と話題を呼んだ。近日公開予定の長編映画「Split」(Deborah Kampmeier監督)では数々の受賞歴のある衣装デザイナー、Eloise Kazan氏と共に衣装デザイナーとして参加。鮮やかな感性が光るデザインと、前評判も上々だ。
「映像系と劇場系で、俳優さんの感じが違うのも興味深い点です。劇場系の方は、衣装を着ている時間が長いので、動きやすさや素材についても細かい注文が入ってきたりして、それがまた面白くて」と目を輝かせる増田さん。「映画や舞台がもともと大好きだったので、この仕事ができていることが本当にうれしい」
増田さんが今後参加する予定の長編映画「The Mint」(Raymond Mamrak監督、2015年公開予定)と、「Ivide」(Shyamaprasad監督、2016年公開予定)の2作品が公開を控えている。今後はさらにスケールの大きなプロジェクトに挑戦し、ハリウッドでの仕事なども手掛けていきたいと夢を語る。
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