“ハウス・ワイン”こそお店のセンス
「Opus One」。在米25年のアメリカ贔屓である私が一番好きなワインです。一年に一度飲めるかどうかのとても高価な代物ですが、気軽に楽しめるとあって、よく利用されるワインに、レストランの“ハウスワイン”があります。
大量仕入れで低料金、味はそこそこ(もしくはそれ以下)、注文するのが恥ずかしいなど、あまり良いイメージがありません。しかしハウスワインとは、「うちの店のワイン」。名前をつけて呼ばないものの「うちの店で選んだ特別ワイン」として、本来はお店の顔。注文するのに恥ずかしくない、お店の料理と合う素敵な美味しいワイン、それがハウスワインの王道なのです。
レストランでは食事が主役、ワインはそれを引き立てる脇役ですが、脇役だからと手を抜いてもいいというわけにはいきません。食事を楽しみにしているお客様にとってワインが美味しければ感動も大きく、ましてやそれがリーズナブルであれば有難い話ではありませんか。
ハウスワインの良し悪しでお店のセンスがわかるものです。脇役でもお客様を感動させる事ができれば、レストランはお料理プラスアルファーの演出ができるはずです。
皆様も、日常の仕事上でのハウスワインを見直してはいかがですか? それと同時に、ハウスワインを注文されるお客様、高級銘柄を注文されるお客様、どちらも“料理を楽しみ”にされている大切なお客様だという事を忘れずに。注文されたワインで差別をせず、お客様のご予算内で素晴らしい感動と体験をプレゼントできる仕事をするように心がけることが大切です。
(次回は4月第4週号掲載)
〈プロフィル〉 中川扶二夫(な かがわふじお) 広島県出身。1988年にニューヨークに一人で渡り起業。在ニューヨーク25年。この間にアムネットをはじめ八つの会社(18拠点)を日米で立ち上げる。成功よりも失敗を肥やしに独自の「家族型経営」が世界で通用するかをチャレンジしている。現在、異業種進出を含め、アジア、南米、欧州へ の進出を計画中。