〈コラム〉軟部組織のための治療─グラストンテクニック─

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カイロプラクター DR. 石谷三佳「骨盤・背骨の歪みをリセット」第165回

(左)正常な組織 (右)瘢痕組織

筋肉、靭帯(じんたい)、腱(けん)、筋膜は、軟部組織と呼ばれる体の臓器です。そして、それらは体を守るための大切な役割を果たしています。しかし、日常生活のさまざまな要因、スポーツのけが、交通事故などにより、軟部組織は損傷します。カイロプラクティックの治療の一部は、損傷された軟部組織を回復させる治療です。

私自身も20代のころ、激しいスポーツで右足首の靭帯を損傷しました。その後、カイロプラクティックや理学療法の従来の治療方法である程度、回復しましたが、完全ではありませんでした。普通に歩けても、長く歩くとその時痛めた患部に違和感を持ったり、走ったり階段などでは少しですが痛みを伴ったりしていました。日常生活や少しのエクササイズには問題ありませんでしたが、以前のように思いっきり運動をしようとする気にはなれない状態でした。そんな時、知り合いのあるカイロプラクティックドクターが、この奇跡的な治療、「グラストンテクニック」で私の古傷を治してくれました。それは、けがをしてから10年も経過していましたが、実に驚きの回復と結果をもたらしてくれました。その後、私もこの新技術を学び、もっと多くの方を助けたいと思い、実体験に基づいた治療法で、今日ではもっと多くの方を治癒できるようになりました。

この注目すべき治療方法「グラストン治療法」は痛みや機能障害を引き起こす「瘢痕(はんこん)組織(損傷した軟部組織)」を発見し治療することを可能にします。

グラストン治療は高度なステンレス製で出来た、研究と改良を重ねたユニークな形をした器具を利用します。その器具は、丁寧に患部が治療できるように、いくつかの違う形と種類があります。幹部の筋肉、腱、または靭帯の上を滑らせながら瘢痕組織専用の聴診器のように瘢痕組織の具合を確かめながら、治療をします。医者、患者共に、瘢痕組織を探知したとき、デコボコしたものを感じます。そして、その機器で粘着した組織を和らげながら癒着などを排除していくタイプの治療法です。グラストン治療は瘢痕組織を発見するだけでなく、短期間で高い改善効果を見ることができます。残念ながら、指圧だけではこのテクニックのように細かく深い瘢痕組織を発見し治療することができません。この治療方法は近年多くの大学のアスリートたち、そしてプロのスポーツ選手によって治療とけがの防止のために使われ、職業関係で起こるけがの対処にも使われています。

グラストン治療とともに、骨格のバランスを改善し、ストレッチと必要な体力作りを合わせることによって、カイロプラクティックの調整の重要な助けとなり、患者の患部を早く、そして完全に回復させることができます。

スポーツなどのけが、交通事故などのむち打ち症(むち打ち損傷)、日常生活からの違和感や痛みのある方、さまざまな症状の方に、グラストン軟部組織治療は効果的です。

(次回は8月25日号掲載)

MikaIshitani〈プロフィル〉石谷三佳(いしたに みか) 石谷カイロプラクティッククリニック院長、パーマーカイロプラクティック大学院卒、ハーバード大学医学部専門課程終了/米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員/2008「Chiropractor of the Year」受賞。2015「Bergen’s Top Chiropractor」受賞。
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