〈口腔顎顔面外科〉一目では原因が分からない症例も解決したい
米国口腔顎顔面外科認定医 笠原毅弘先生
「歯医者さんですよね、とよく言われるのですが、いわゆる歯科治療は全くしないんです」と話す笠原毅弘先生は米国認定の口腔顎（こうくうがく）顔面外科医。日本の区分では口腔外科医が最も近いが、米国と日本では区分の仕方や資格の仕組みが大きく違うという。
扱うのは口の中の手術だけではない。親知らずに違和感を覚えて来院したある患者は、口内の腫瘍に押され、親知らずが眼球のすぐ下にまで移動していた。手術の範囲は一般に想像する「口の中」とは全く違う範囲にまで及ぶ。顔を殴られて額がへこんだ患者や、唇に大きなできものが出た患者も笠原先生の治療の領域で、顔・顎（あご）・口内に関連するあらゆる外科手術を担当する。内科や耳鼻科に行った患者が推薦で来ることも多い。
「耳の近くから大きな神経が三つに分かれて走っていて、複雑に影響を与え合っているんです。だから顔面の痛みは原因を特定しづらく、頭痛かと思ったら顎が原因でした、というようなケースもあります。そういう一目では原因が分からない症例も解決したいんです」
難易度の高い症例を経験
東北大学第一口腔外科で活躍していた笠原先生が米国での勉強を決意したのは、少しでも学びを深め、難しい症例に立ち向かえる医師になりたかったから。
「若いドクターが朝から晩まで手術を行い、学んでいる姿をアメリカで見て渡米を決意しました。英語はそれから勉強したんです」
一度現場で活躍した医師が学生に戻るのは精神的に楽なことではなかったが、2001年、ペンシルベニア大学のプログラムに参加。03年には、全米62校から毎年約4000人の新卒生が入学を目指すも５％しか合格できない難関のレジデンシー・プログラムに合格。07年に晴れて米国口腔顎顔面外科認定医の資格を手にした。その後も探究を続け、さらにトレーニングがつめるフェローシップ・プログラムに参加するため、家族でミズーリ州セントルイスへ移住。１年間、顎関節や脳のすぐ下の手術など、難易度の高い症例について経験を深めた。
クリニックをオープン
今年３月、ついに自身のクリニック「Bridge Oral-Facial Surgery & Implant Center」をニュージャージーに立ち上げた。
「渋滞がなければマンハッタンから車で15分ほどの立地なので、気軽に相談に訪れてほしい」と笠原先生 。日本語・英語どちらでも受け付け可能。
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 前頭洞再建術。前頭部が陥没した患者さんの術前（上）、術後３カ月 |
情報
Bridge Oral-Facial Surgery & Implant Center
【電話】201-585-9800（英語）、908-783-5935（日本語・笠原）【ウェブ】www.bridgeoralfacialsurgery.com【Ｅメール】takehiro@bridgeoralfacialsurgery.com（日本語可）【住所】2029 Lemoine Avenue, Suite-103, Fort Lee, NJ（建物裏側に公共駐車場側有り）
※マンハッタンからは地下鉄Ａ線 175th駅下車、直通地下道で178thターミナルへ。ニュージャージー行きシャトルバスを利用し、ブリッジプラザ下車、徒歩３分。建物裏側の公共駐車場側からのアクセスが近道。
（「WEEKLY Biz」2014年４月19日号掲載）
