自己破産は、資産が負債を下回り、収入と資産だけで負債につく利子を払うことができない時のためにつくられたシステムです。通常、私たちは資産または収入でクレジットカードの借金や病院の請求などを払いますが、それらの支払いが困難になるような個人的な災難の時はもちろん、今回の新型コロナウイルスのような思いがけない災難の時にも有効です。
カード会社は莫大な利子や遅延手数料を請求しますが、それは倒産・破産が起こることを予期し、そのリスクを回避することを踏まえています。しかし、今回のような危機に際しては適正な方法とは言えないでしょう。
7年ごとに破産が可能な英米(普通法)の概念は、イスラエルのすべての債務が7年ごとに取り消された旧約聖書の時代にさかのぼります。もちろん今の時代では全ての借金を許すことはできませんが、危機における破産というシステムは一つの方法だと言えるでしょう。
破産手続きは、まず資産と負債を書類(最近はインターネット)に記載することから始めます。基本的に、資産が余っているかを計算して証明するためですので、すべての債務を記載する必要はありません。例えば、気に入っているクレジットカードをキャンセルしたくない場合など、それをリストアップせずに支払いを続けることもできます。
多くの資産は免除される
資産はすべてを記載する必要がありますが、多くの資産は免除されるので、自分のものとして残ります。
連邦倒産法第7章(Chapter 7)というシステムは、“ストレート”または“清算破産”と呼ばれ、借金を完全に整理します。破産管財人が書類に目を通した上で、1回10分くらいのアポイントの時間をとり、書類に記載されている内容に対して質問をします。もちろん英語ですから、弁護士は英語で対応します。破産前と破産後にはオンラインによるクレジット・カウンセリングと、債務者教育のコースがあります。結婚している場合は、2人で破産することで資産免除を倍にすることもできますが、1人だけ破産ということもできます。
Chapter 7は清算破産と呼ばれていますが、すべての資産をはく奪されるわけではなく、特定の免除プロパティを維持することが許可されています。免除される資産には以下のようなものがあります。
〈免除される資産〉
●自宅の住宅資産(ニューヨーク市近郊は1人17万825ドル、夫婦の場合は倍の額)
●車(1人4000ドル)
●年金口座
●仕事やビジネスに関わる資産
●現金5000ドル(住宅資産が無い場合)
●子供の大学用貯金
この他、家具などもっと細かいものもありますし、エリアや条件によって変わってきます。
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(2020年5月2日号掲載)