【リポート】八神純子さん、老舗ジャズクラブで熱唱

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バードランドのライブでの八神純子さん=6月29日、ニューヨーク(撮影:工藤)

バードランドのライブでの八神純子さん=6月29日、ニューヨーク(撮影:工藤)

NYならでは選曲で観客魅了

昨年デビュー45周年を迎えたシンガー・ソングライターの八神純子さんが6月29日と30日、ニューヨークの老舗ジャズクラブ「バードランド」でライブを行った。2日間の同地での初の単独ライブは両日ともにソールドアウト。ライブの模様をリポートする。

ライブ前日まで練りに練って決めたというセットリストは、ニューヨークならではの選曲に。オープニングナンバーでビリー・ジョエルの名曲「New York State of Mind」を澄んだ歌声で歌い上げると、観客を一気に八神ワールドへと誘った。巨匠、ルイス・アームストロングの「It don’t mean a thing」を軽快に歌い上げると、続いてガラリと雰囲気がかわり、46年前のメジャーデビュー曲「思い出は美しすぎて」を日本語で披露、違う姿をみせた。

現在、ロサンゼルスに住む八神さん。同地で生活する中、人との触れ合いから生まれたというオリジナル曲「People will be people」を披露。過去と現在を歌でつなぎ、再びしゃがれ声が大きな特徴のアームストロングの名曲「What A Wonderful World」を、持ち前の澄んだ美声で聴かせた。

近年、ボランティア活動や、地球温暖化への理解を深める活動を積極的に行っている八神さんが、温暖化をはじめとする環境問題や人種差別、紛争など、地球が抱える問題を壮大な時間軸の中で問いかけた11分強の楽曲「TERRA」(地球)を披露。同曲を歌うにあたり、「長い(11分)と感じさせないことが目標」と紹介したが、メッセージ性の強い楽曲に観客は聴き入った。

「年を重ね、今の自分だから歌える曲」と、シャーリー・ホーンの「Here’s to Life」をワイングラス片手にしっとりと披露。グラスを持つ観客と“乾杯”する粋な演出で盛り上げた。

ライブ終盤、自身の代表曲3曲「ポーラースター」「みずいろの雨」「パープルタウン」を続けて披露。「待っていました」と言わんばかりの観客からの大きな拍手の中、名曲の数々を歌い上げた。特に、ニューヨークの街並みをイメージして書き上げたという「パープルタウン~You Oughta Know By Now~」を歌うと、観客はリズムに合わせて腕を大きく振り、大盛り上がりの中、クライマックスを迎えた。

アンコールでは、会場となったバードランドについて歌われている名曲「Lullaby of Birdland」と「There you are」をしっとりと聴かせ、1時間のライブに幕を閉じた。

昔と変わらない懐かしさと、50年近く歌い続けているからだせる哀愁を兼ねそなえた八神さんの歌声。シティポップブームが続く中、ますます磨きのかかった歌を聴かせてくれる八神さんの活躍から今後もますます目が離せない。

(2024年7月6日号掲載)

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