乳がんの罹患リスクがある人とは(2)

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乳がんと戦う4

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第135回

現在、米国の女性間で最も多く診断されている乳がん。この25年で43%も死亡率が改善していて、以前のように乳がんの診断は最終宣告はなくなってきている。前回=5月4日号掲載=から、米対がん協会(American cancer society)が挙げている明確な2つの種類の罹患リスク、変えられないリスク要因と変えることができるリスク要因のうち、変えることができるリスクについて、説明を開始している。

変えられるリスク:ライフスタイルにより影響しているリスク

米対がん協会によると、肥満、アルコール摂取、運動不足、ピル(経口避妊薬)服用、閉経後のホルモン補充療法、妊娠歴、母乳歴などが関連しているリスク要因として挙げている。

(1)肥満は乳がんのリスクを上げる

●乳がんの適切な治療を判断するためには、まず、各患者のがん細胞において、プロジェステロンとエストロゲンを指すホルモンの受容体の有無を検査する。これらのホルモン受容体がある乳がん(ホルモン受容体陽性乳がん)はこれらのタンパク質の存在によりがんの成長を促すためで、特に閉経後の肥満は、当該乳がんのリスクを上げると言われている。それは、閉経以前はエストロゲンはほぼ卵巣で形成されるが、閉経後は、体の脂肪から形成され、エストロゲンががんとリンクしていることが根拠にあるためである。脂肪組織が増えることにより、エストロゲンも増え、乳がんのリスクが上がる、という関連性である。また、肥満によりインスリンレベルも上昇する傾向にあり、このことも乳がんとリンクしていることが分かっている。このホルモン受容体陽性乳がんは全乳がんの約70%を占め、予後は良いと言われている。

●閉経以前の肥満の女性は、トリプルネガティブ乳がんのリスクが高い、という研究が発表されている。トリプルとは、エストロゲン受容体、プロジェステロン受容体、HER2タンパクの3つを指し、この3要素が存在しない乳がんの種類で、乳がん全体ケースの10~15%を占め、予後が悪い傾向にある。

(次回=9月7日号掲載=に続く)

【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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