その奮励に周囲が手助け、実を結ぶ「まっすぐな気持ちから生まれた作品は必ず伝わる」 作曲家・ピアニスト 宮嶋みぎわさん

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宮嶋みぎわさん(Photo by Michael Yu)

ビッグバンドCD「COLORFUL」、「ArtistShare」からリリース
グラミー賞、2度ノミネート

9月、全曲自身の作曲によるビッグバンドCD「COLORFUL」を、ジャズ界のスターたちが所属する著名なレーベル「ArtistShare」からリリースした作曲家・ピアニストの宮嶋みぎわさん。同月30日、ニューヨークの老舗ジャズクラブ「Birdland」(バードランド)で同バンドを率いた記念コンサートを成功させ、華麗なるデビューを飾った。

自身の「ミギー・オーグメンテッド・オーケストラ」を率い、開催したCD発売記念コンサートの模様=9月30日、「Birdland」(Photo by Michael Yu)

通算4000曲超の生バンド鑑賞、ジャズ界の巨匠も認めた努力

渡米してわずか5年で華やかな舞台に登れた理由を「“くそ真面目”に勉強したから」とみぎわさんは答える。努力する姿を見た周りの人たちがチャンスをくれたのだと言うのだ。

30歳で音楽の道に

日本でリクルート社での社会人経験を経て30歳で音楽の道に進んだ。音楽大学に行かず独学で音楽を学んだみぎわさんの努力は半端ではなかった。ビッグバンドの生演奏は通算4000曲以上聞いた。一日1曲聞いても10年以上かかる計算だ。「アドリブが必ず入るジャズの演奏は“生物”。作曲家が作った土台の上に、演奏家がアドリブで色を塗り、毎回変化するのがジャズ楽曲の醍醐味(だいごみ)」(みぎわさん)だから作曲の勉強に加え、多くの生演奏を聞くべく時間とお金をとことん費やした。ジャズ界の巨匠も「みぎわの努力に勝てる人は今後出ないだろう」と言うほどだ。

頑張りを人は見ている。みぎわさんは日本に本物のジャズを、との思いで52年の歴史を持つ「The Vanguard Jazz Orchestra」(VJO)の日本ツアーをプロデュース、副プロデューサーとしてグラミー賞ノミネートも2度経験した。計10年にわたり、身を粉にして日本の音楽環境と教育のために働くみぎわさんの姿を見て、「今度はあなたの音楽で社会貢献すべき」とアルバムを作成するための融資を申し出てくれる投資家が現れた。

他にも、デビューまでの要所要所で一流の人たちが助けてくれた。録音はマイルス・デイビスらトップアーティストを手掛けた巨匠エンジニアが担当。バンドメンバーには、世界レベルの演奏家が集った。名門レーベルを紹介したのも、ひたむきな努力を見ていた友人だった。

とにかく人に助けられてここまできた、と話すみぎわさん。自身のコンサートでは、17人のメンバー全員に演奏の見せ場を作る。「この人のここが素晴らしいから、それを私の曲の中で見せよう! と工夫するのが好きなんです」と話す様子からも、周囲の人との関わりを大事にする姿勢が見てとれる。

東日本大震災の体験を入れ込んだ曲が被災者の励ましに

ライブ後には「感動して泣いた」と言われることが多い。「まっすぐな気持ちから生まれた作品は必ず伝わる」と信じ、作品を作ってきた。東日本大震災の生々しい体験を入れ込んだ曲が被災者の励ましになったことで「大きな学びになりました」と語る。

来年11月には1200人超のホールで連続公演

今月はオーストラリアでも公演するなど、日本と米国のみならず、世界各地での活動もスタートしたみぎわさん。来年11月には1200人超を収容するホールでの連続公演も決まった。舞台が大きくなっていってもこだわるのは人の心に思いがしっかり届くこと。「癒やしや励ましや笑顔を生み出せるような曲、聞いて良かった、この曲に会えて良かった、と思ってもらえる曲をこれからも書いていきます」

(2018年10月13日号掲載)

Migiwa_Miyajima20181013

 

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