テニスの全米オープン開幕を2日後に控えた8月25日、錦織圭選手と大坂なおみ選手(ともに日清食品)が、滞在先でもあるニューヨークのキタノホテルのペントハウスで記者会見し、意気込みを語った。
記者会見での質疑応答の全容
2年ぶりのUSオープンの意気込みや目標を教えてください。
錦織選手 素直に去年出れなかった分、この場に戻ってこれて嬉しいですね。やっぱりグランドスラムをスキップするのは大きな決断でもあるし、やっぱりさみしい部分がどこかあるので、こうやってこの場にフレッシュな状態で戻ってこれたのは、もちろん不安もありますが、楽しみな気持ちの方が大きいです。試合は一試合ごとに戦ってみて、特にどこまで行きたいというのはないですけど行けるところまでは行きたいと思っています。
USオープンでの過去の成績、実績を踏まえての期待感は高まったりしますか?
錦織選手 そうですね。USオープンは好きなグランドスラムの一つですし、独特な雰囲気がありますし、アメリカに住んでる分、居心地の良さはあるので、もちろん期待もしてますけど、でもそこまですごく期待値が高いわけではないので、さっきも言った通り一試合ずつ戦ってみて、できれば自信もついてくると思うので一試合ずつ戦いたいです。
以前の取材で、「試合での自信が十分戻ってきてないので、相手の立場になると引いてしまう」という言葉の「自信が戻ってこない」というのは、けがで休んでいた時期があったからなのか、ということと、今大会こういうプレイができたら自身が戻せる何かになりそう、というものがありますか?
錦織選手 まだ安定感が自分の中でないのでそれが試合の中でアップダウンが出る原因になってる一つになるので、自信だったり自分のテニスの感覚だったり、そういう細かい部分が欠けてる部分が正直ありますけど、今週すごく良い練習ができて、感覚も戻りつつあるので、このグランドスラムで、5セットですし、長い試合の中で自信を積み重ねていければチャンスはまた出てくると思うので、できるだけ主導権をにぎれるように自分のやりたいテニスを常にできるように意識してやりたい。
やりたいテニスというのは具体的に?
錦織選手 基本的に攻めるのが自分のスタイルなので、相手のミス待ちにならないように自分から仕掛けて行けるようなテニスができればいいなと思っています。
NYは渋滞などの賑やかさで多くのトップ選手が集中しにくい街だと言いますが、錦織選手はどうですか?惑わされることはないのか、もしくはその中での集中の仕方や、この大会ならではの過ごし方はありますか?
錦織選手 僕はあまりないですね。大丈夫だと思います。ホテルから会場が遠いというのだけが大変な要素ではありますけど、NYの街は好きな街ですし、賑やかな感じも(好きですし)。結構オフの日は買い物とかに出かけたりするので、ウィンブルドンは全くしないんですけど、パリとかここは結構買い物に出てオフの日はリラックスしたりしているので、過ごしやすい住みやすいところなので、惑わされるというのはあまりないかなと思います。
今回のオフは何をされていますか?
錦織選手 今の所は何も。昨日はスープの美味しい日本食のお店に行きましたけど、まだイベントごとがあって時間がないので、結構空き日に朝練習して午後はゆっくりして治療なりして、買い物を、ちょっと出かけたりというのが、自分のルーティンというか、リラックスして、体に余裕があればリラックスして過ごしているので時間ができたら街とかいろんなものを見たいなと思っています。
今控えている試合のことを考え、今回の試合での自分の中で状態を評価すると、どうなのかを教えてください。
錦織選手 どうでしょう。でも自分のできることを精一杯やるだけですし、今回のUSオープンは好きなグランドスラムの一つでもあるし、好きな場所です。決勝に行って準優勝を勝ちとって、良い成績を残した場所でもあるから、ベストを尽くしたいです。今週は良い練習をできているし、良い一試合目を迎え、この良い状態を保ちたいですね。
デビスカップのフォーマットが来年から変わりますが、2月に予選、11月に本選という変化にどのような考えですか?
錦織選手 正解は難しいですよね。僕はどちらかというと賛成です。やっぱり回数が多かったのは選手の負担になりすぎている部分があったというのは多い意見だったと思うので、少なくなり絞られたのは自分的にはいいと思うので、デビスカップは好きなイベントの一つでしたけど、なかなか回数があれだけあると自分のランキングとか身体とかいろんなものと相談しなければいけなかったので回数が減れば、トップ選手が出てくる可能性も増えるのかなと思いますし、自分的にはいいかなと思います。時期的にツアーファイナルの後に力が残っているかと思うと、8人は出し切っているし、出ない人は待たなければいけないし、難しいですね。
試合でのアップダウンが起こる不安を自分の中で立て直すときに心がけていること、一回戦の相手の印象、勝つための鍵などを教えてください。
錦織選手 シンプルに最後まで諦めないことですね。いつチャンスがくるかわからないし、5−0、6−0からでもチャンスがくることはあるので、最後まで戦術をしっかり考えて、強い気持ちで、なるべくポジティブにやって行くことはやっぱり大事なので、自分にいろんな言葉を言い聞かせたり、最後まで諦めないことは一番重要視しているかもしれないです。一回戦の選手は練習もしたことがないので情報もそこまでないんですけれど、ビックサーバーで、レフティで、ビックショットを持っている選手なので、まだ若いので粗さはあると思いますけど力は持っている選手なので、コーチたちと相談して、情報がないと、あまり知らない選手ではあるので、これから見ていくと思います。
自分の中で言い聞かせる言葉とは?
錦織選手 いろいろです。いっぱいあります。
前哨戦の際にフォアハンドの感覚がよくないということでしたが、試合数をこなしたかったという中で、ポイント形式の練習と技術的な練習とどちらを多くやってきましたか?
錦織選手 ポイント練習が多かったですね。ポイントの取り方だったり、自分の中でいい形を作り上げたかったので。フロリダでは基礎練習を同じようにやっていたので同じくらいやっていましたけど、こちらにきて強い選手とポイント連取して良い感覚が戻ってきているので、もう少し調整して初日にベストな状態で臨めるようにしたいです。
USオープンとは違う質問ですが、人として選手として30歳を懸念しているときはありますか?
錦織選手 30はやっぱり嫌ですね。みんなそうだと思いますけど一つの壁ではありますね。30になるまでの大きな大会で優勝したいですし、そこからも、特に体に気をつけてトレーニングしたりしているので長くプレーしたいと思っているので30からもしばらくやりたいと思っていますけど、30って一つの区切りではありますけど若干、嫌ですね。
10年前に18歳の時のUSオープンで初出場でベスト16進出という結果が、その後のツアーやグランドスラムの活躍の大きなきっかけになったと思うのですが、振り返ってみてどうですか。
錦織選手 USオープンでベスト16に入ったのは一つ目の大きな結果でしたし、自分の中で自信をもてた大会だったので、きっかけとしては一つ目の大きなステップだったのかなと思います。
ジョコビッチ、ワオリンカが復活した、と言われていますが、戦われて手応えを感じられましたか、デ杯について何か決まっていますか?
錦織選手 ワオリンカは強かったですね。序盤こそ粗さはありましたけど、彼の重いショットが蘇ってきていた感覚はあったので、やってて強かったですし、自分がそんなによくなかったのはありますけど、ワオリンカも、特にジョコもだんだん調子を取り戻してきているのでやっぱり流石だなっていう感じですね。今までトップにいた選手なので。フェデラーだけは、すぐ戻ってきましたけど、彼らもあれだけ実力があって強いメンタルもあるので、ほかのトップ10以外の選手と比べても単純に早いですし、また強い彼らとやれるのは自分にとってあの楽しいし、チャレンジなので嬉しいですね。デ杯はまだ決まってないです。
自分がもし自分のコーチならなんと言葉をかけますか?
錦織選手 今は思い切りやりたいですね。楽しんでまたこの場所に入れることも、いろんな人に感謝してプレーしないといけないし、楽しんでやるのが一番だと思うので。どれだけ楽しめるかは自分の調子にもよりますけど。なるべく全部をなるべく出し切ってやれば、もしダメでも次の大会で結果が出たり、次のタイミングがいつ来るかわからないので基本的には全力で、プレーするだけなので、思い切ってプレーできたらと思います。
ポイント練習と基礎練習を半々やってきたということで、自分の責めるテニスを形成する際に今回気持ちの面で工夫しようと思っていることがあれば教えてください。
錦織選手 なるべく強い気持ちで常にポジティブに、ということは言葉では簡単ですけど、なかなかコート上では簡単にはできないので、そこを強く自分に言い聞かせることは、今は大事なのかなと思っています。特に裏技があるわけではないので徐々に徐々に良い自分の形を作っていって、調子も上がっていけるようにしたいです。
サーブを選択するなど、芝限定だと言っていた動きを芝以外でもやってたりしますがそれはどういう感覚ですか?
錦織選手 そうですね。どちらかというのは決めてないですけど、サーブに自信がついてきたので、グラスでサーブから始めるとうまくいけばリードも広がるし。サーブに自信がついてきたから取ってるんだと思いますけど。今週はちょっとまだ決めてないので、楽しみにしててください。