坂本龍一さんがMRで蘇る「KAGAMI」、7月2日までの限定公開

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演奏する坂本さんの近くに行き、演奏する姿を観られるなど、MRコンサートならではの方法で鑑賞ができる(By Ryan Muir)

演奏する坂本さんの近くで演奏する姿を観られるなど、MRコンサートならではの方法で鑑賞できる

今年3月28日に亡くなった作曲家・アーティスト、坂本龍一さんの複合現実(MR)コンサート「KAGAMI」が現在、ハドソンヤードにある複合文化施設「ザ・シェッド(The Shed)」で公開中、話題となっている。

2019年に、制作スタジオ「ティン・ドラム」が、VRによって得られる仮想現実感と、ARの拡張現実感が混合した感覚を得られる最新技術で制作を開始。翌20年に東京で最新のキャプチャ技術によって坂本さんの演奏する姿を撮影、音源も録音がされた。これにより、最新のヘッドセットで体験する新しいタイプの複合現実コンサートが完成した。

坂本龍一さん(By Luigi and Iango)

坂本龍一さん

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劇場内に入ると、観客はVR専用のヘッドセットを受け取り、装着する。円形に置かれた椅子(80席)に着席し、1時間に及び、グランドピアノで演奏する映画的で立体的な坂本さんと、各曲に合わせて作られたバーチャルアートを鑑賞することができる。演奏中、観客は会場を歩き回ったり、演奏する坂本さんの近くに行き、演奏する姿を観られるなど、複合現実コンサートならではの方法で鑑賞ができる。演奏楽曲は、「Energy Flow」や「Merry Christmas, Mr.Lawrence」などの有名な作品から、「The Seed and the Sower」などの演奏機会の少ない作品まで、全10曲のオリジナル楽曲。

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坂本さんの生前最後のプロジェクトの一つとして制作された同作。

●坂本さんからのメッセージ(和訳)

現実に、バーチャルな私が存在する。
この仮想の私は歳をとらず、何年、何十年、何百年とピアノを弾き続けるだろう。
そのとき、人間はいるのだろうか。
人類の次に地球を征服するイカは、私の言うことを聞くのだろうか。
彼らにとってピアノは何なのだろう?
音楽はどうだろう?
そこに共感はあるのだろうか。

何十万年という長い年月をかけての共感。あ、でも電池はそんなにもたないか。

─坂本龍一

「KAGAMI」について、今年初め、坂本さんは同メッセージを残した。“世界の坂本”は、テクノロジーの力で今も演奏し、観客を魅了し続けている。

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観客はVR専用のヘッドセットを受け取り、装着する(by Marissa Alper, Courtesy of The Shed)

観客はVR専用のヘッドセットを受け取り、装着する

ニューヨークでは7月2日までの限定公開で、その後、イギリスのマンチェスター国際フェスティバル、来年にはシドニーオペラハウスのフェスティバルでも公開される。
詳細は(https://theshed.org/)。月曜日以外、毎日6回ほど公開されており、チケットは39ドルから。

コンサート鑑賞にはヘッドセットの着用が必要なため、眼鏡をかけている人は入り口でその旨を伝え、度の入ったヘッドセットをもらう必要がある。

(2023年6月24日号掲載)

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