創業50年、高評価守り続ける正当派フレンチ
ミッドタウンの喧噪(けんそう)から抜けた静かな住宅街に、フレンチレストラン「Le Périgord(ル ペリゴール)」はある。扉を開けると、タキシードを着用したスタッフに出迎えられ、白いクロスと生花で彩られたテーブルへと通される。テーブル同士の間隔にはたっぷりとスペースがとられ、個室ではないものの、プライベート感は充分。ウエイターは必要以上を語らないものの、細かな所まで気がつく温かなサービスをしてくれる。
それが、1964年の創業以来変わらない「Le Périgord」のスタイル。「その昔、フレンチレストランとはこうあるべきだった」―。その伝統を今も引き継いでいる、希少なレストランだ。David Bouley氏をはじめ、フレンチの巨匠たちがシェフを務めたこのレストランで、現在シェフを務めるのはJoel Benjamin氏。フォアグラやトリュフなどの高級食材を惜しみなく利用し、芳醇な香りと素材のうまみを引き立たせた料理の数々が、高い評価を受けている。
特筆すべきは、メーン料理の「鴨のロースト(Canard rôti aux fruits de Saison)」。ワインでふっくらとローストされた鴨は、1人前とは思えないほどの肉厚と大きさ。身は驚くほどに柔らかく、ナイフを入れると透明な肉汁がじゅわっと染み出てくる。口の中にジューシーなうまみが一度に広がる、至高の一品だ。
前菜でお勧めなのは、野菜のタルト。見た目はキッシュに似ており、中にはズッキーニやニンジンなどの野菜が細かく刻まれ、ふんだんに盛り込まれている。チーズやバターの香りと野菜の甘みが良く合う、日本人にも人気のメニューだ。
「創業から50年、ニューヨークで常にハイランキングの評価を頂いてきました。国連大使やセレブリティーもよくいらっしゃいます」と、オーナーのChristopher Briguetさんは語る。伝統と格式がありながらも、派手な調度品や、堅苦しい雰囲気はなく、本当の静けさとくつろぎを演出するレストラン、「Le Périgord」。おいしい料理とともに優雅な時間を楽しみたい方には最適な空間だ。
Le Périgord
【住所】405 E 52nd St(near 1st Ave)NYC 【電話】212-755-6244
【営業】(月―金)ランチ:正午〜午後3時、ディナー:午後5時半〜午後9時45分
(土日)ディナー:午後5時半〜午後9時45分 【ウェブ】www.leperigord.com/
(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2014年2月22日号掲載)