舞台への熱い思い、語る
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出口最一氏=5月16日、ニューヨーク(撮影・工藤)
ニューヨーク倫理友の会(リンゼイ芥川笑子理事長)が16日、毎年恒例「春のランチョン」をマンハッタンの新橋レストランで開催した。講演前には、6月に帰任を控え同会に初めて参加した在ニューヨーク日本国総領事館・廣木重之大使・総領事が、お礼とともに同会の発展を祈り、あいさつをした。
今回は演劇プロデューサーの出口最一氏を迎え、ブロードウェーの裏話や自身が手掛けたミュージカル「トリップ・オブ・ラブ」について講演。会場には60人を超える多くの人が訪れた。
“日本で上演されるミュージカルのほとんどがブロードウェーからの輸入物”─。そのことに疑問を覚え、コピーでない本物に携わってみたい、と在籍していた劇団四季を退団し、1987年にニューヨークにやってきた出口氏。現地の劇団に入りインターンから演出に携わり、水を得た魚のようにニューヨークの舞台業界にのめり込んで行った。
月日が過ぎる中で、今度は「日本人が生み出したミュージカルがブロードウェーで、世界で上演されてもいいんじゃないか」という気持ちを持ち始め、「トリップ・オブ・ラブ」の制作に取りかかったという。同作は昨年、ブロードウェーでの公演を目指し、大阪でトライアル公演を行った。
「(自分だけでなく)日本人が作ったミュージカルを世界に輸出し、外貨をもうける役割をできるのではないか」と日本の舞台産業におけるミュージカルの位置付けを変えて行きたいと考えている同氏。その熱い思いと、興味深い内容の講演に、参加者からは質問が飛び交い、熱い拍手が送られた。
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(左から)廣木大使夫人、出口最一氏、NY倫理友の会・リンゼイ芥川笑子理事長、在NY日本国総領事館・廣木重之大使=5月16日、ニューヨーク(撮影・工藤)
(2013年5月25日号掲載)