日本クリニック「医療の時間」第16診
皆さん、ジオキャッシングという言葉を知っていますか？
最近話題になってきている言葉で、簡単に言うと携帯などの全地球測位システム（ＧＰＳ）を使った宝探しゲームです。現在このテクノロジーは世界100カ国以上の国で普及していて、アメリカスポーツ医学大学の第58回会合と第２回Exerciseis Medicine®（運動は薬）国際会合によるとジオキャッシングは、ハイテクな若い世代を外に連れ出しエクササイズさせる新しいクリエーティブな方法となりうるとのことです。
アパラチア州立大学のリサーチチームが56人の若者（13〜17歳）を対象にした調査によると、学生たちに５点満点でエクササイズ、テクノロジーとアウトドアの楽しさと、ジオキャッシングを楽しめるかどうかを評価させた結果、学生たちは体を動かすこととテクノロジーを楽しみ、アウトドアをより好むことが分かりました。さらにジオキャッシングはただウオーキングをするより楽しそうだという見解でした。
そしてリサーチャーは、それぞれの学生のテレビやコンピューターに向かう時間と運動時間を記録したところ、ほとんどの学生が最小限の運動ガイドライン規定を満たしておらず、69・６％が１週間に５日未満しか体を動かさず、57・１％は３日未満しか体を動かさないという結果でした。対照的にテレビやコンピューターやテレビゲームに10時間以上も費やしているとのことでした。
また、米国身体活動ガイドラインは子供と大人両方に毎日最低１時間は身体活動をするべきことを推奨していますが、2010年にThe Henry J・Kaiser Family Foundationによって発表された報告によると、米国の若者８〜18歳は平均１日７時間38分、テレビやコンピューターなどのエンターテインメントメディアを利用しているとのことです。
全体の結果として現代の若者は健康を保つための最低限の毎日の身体活動を満たしていません。テクノロジー（テレビやコンピューター）が若者の気を引き、座りがちにしていると言えます。
それに対し、ハイテクな若い世代の人々のテクノロジーを使いながらのアウトドア活動に対しての興味の高さを考慮すると、ジオキャッシングは若者を活動的にする最適なツールといえるでしょう。
現在たくさんのジオキャッシングコミュニティーがあり、メジャーなものにwww.geocaching.comなどがあります。日々テクノロジーが進化する今日、ぜひ良い方向に利用して活動的になって健康になりましょう！
（次回は８月20日号掲載）
〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師／Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック／15W 44th St. 10FL. NY，NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科。ＮＹ大学医学部卒業。NYU Harkness Center for Dance Injuriesにて資格取得。アメリカ大学スポーツ医学会（ＡＣＳＭ）、東京大学、ヨーロッパなどで講演を行う
