日本クリニック「医療の時間」第18診
だんだんと涼しくなり、すっかり秋の気配を感じますね。食欲の秋といいますが、体重が増えると動くのがおっくうになりがちです。しっかり運動して体力をつけましょう。そして中高年の皆さま、耳が痛い話ですが、リサーチによると年齢が上がるほど継続的にエクササイズしないと筋肉を維持できないことが分かっています。今回は年齢層と筋肉保持能力の関係についてお話したいと思います。
アメリカスポーツ医学大学の研究報告よると、若年と高齢の大人を比較した場合筋肉量の保持能力に大きな違いがあるとのことです。
高齢の大人(60〜75歳)と、若年の大人(20〜35歳)が同じ筋肉量を保持するためににどのくらいのエクササイズをすれば適切か究明するため、二通りの試験が行われました。70人の大人(39人の若年層と31人の高齢層)が最初の実験を行いました。最初の実験では、筋トレ3セットを週3回、16週間行いました。被験者のうち、56人が次の32週間の実験を行いました。この実験では被験者をランダムに3グループに分けて、それぞれに異なる量の筋トレ行わせました。グループ1は筋トレを全くしない、グループ2は筋トレ量を3分の1(3セット週1回)に減量、グループ3は筋トレ量を9分の1(1セット週1回)に減らしました。
結果は、筋肉サイズの保持能力には年齢層で大きな違いが出ることが分かりました。若年層被験者が3分の1の運動量でも筋肉が増え続け、9分の1の運動量でも筋肉量を保持し、運動を全く止めた場合のみ筋肉が減少したのに対し、高齢層の被験者は、どのグループも運動量を減らす前と同じ筋肉量を保つことができませんでした。
この研究結果から、高齢になるにつれて筋肉保持能力が低下する事は明らかです。今までと同じ量の筋肉を保持する為には、継続的な筋トレが必要です。若い頃のように、たまに少しだけ筋トレをしても筋肉量を維持できません。健康的に若々しく年を重ねるために継続的な運動、筋肉トレーニングを心掛けましょう。
(次回は10月15日号掲載)
〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科。NY大学医学部卒業。NYU Harkness Center for DanceInjuriesにて資格取得。アメリカ大学スポーツ医学会(ACSM)、東京大学、ヨーロッパなどで講演を行う。