〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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今週は「シンデル法律事務所」

移民法の取り締まりを引き続き強化する米国政府

最近発表されたデータによると、2012年、米国連邦政府は、移民法の取り締まりに180億ドルを投入したということです。 この予算額は、その他の連邦法執行機関の同年歳出総額を上回る額にあたると発表されています。米シンクタンク「Migration Policy Institute(移民政策研究所)」の最新の発表によると、180億ドルという予算額は、FBI(米連邦捜査局)、FBI(米連邦麻薬取締局)、Secret Service(米秘密検察局)、 U.S. Marshals Service and Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives(米連邦保安局アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)の予算額を合計した額を上回る予算額とのことです。 1986年に、レーガン大統領が米国で初めて300万人もの移民を合法滞在とし、雇用者には従業員の移民ステータスを調べるよう義務付け始めた当時の予算に比べると、現在移民法の取り締まりに投入される予算は、実に15倍へと膨れ上がっています。毎年、米国への旅行者のスクリーニングから強制送還に至るまで様々な移民法の取り締まりのため、この予算が投入されています。 米国南部の国境の取り締まりを強化することで、不法移民の不法入国を食い止めようとする米国政府の政策も空しく、人々の不法入国の波は衰えが見えません。2000年には、国境での逮捕者数が、最大ピークの170万人に上りました。2005年より、国境警備隊の人員はそれまでの2倍へと増員され、強制送還者数も増加しました。しかし、これらの移民法政策は米国を安全にしたのでしょうか。移民法の取り締まりは、米国労働者の仕事を守り、経済を守ってきたのでしょうか。それとも、米国は、米国経済を守るというスローガンのもと、外国人労働者にとって働きにくい国となってしまったのではないでしょうか。今一度米国政府にはこの問題に真剣に見つめ直してもらいたいものです。 (次回は1月第2週号掲載) (「WEEKLY Biz」2013年12月14日号掲載) sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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