〈コラム〉法律の専門家がお答えします

0

senmonka

今週は「シンデル法律事務所」

家族をスポンサーとした永住権申請 その1

今年も定例の移民法弁護士協会定例会議がカリフォルニア・サンディエゴで開催され、私も参加してきました。
ここ最近では法律そのものに直接かかわる、また皆さんに大きなメリットとなるような発表はあまりなかったのですが、いくつか興味深い内容も今回話題として出てきました。それでも多くは各種ビザ申請について審査が厳しくなっていることを基本とした内容が多く、今後の政府の政策に期待を寄せたいと思います。
そこで、今回の会議において確認できた事項のうち、家族をスポンサーとした永住権申請について今回(同性間による結婚)、そして次回(家族をスポンサーとした永住権申請の種類と最近の申請状況)の2回に分けて紹介したいと思います。
皆さんの多くは既にご存知でしょうが、同性間による結婚は米国のいくつかの州では合法的に認められています。しかし、米連邦政府は伝統的に結婚は異性の間で行われるべきものであると言う立場をとっており、このことからも連邦法でもある移民法に基づいては同性の配偶者をスポンサーとした永住権申請は認められません。ただ、最近の同性婚に対する米国民のオープンな雰囲気を背景に、現在移民局は同性婚者へのビザ発給に検討を始めているようですが、未だ明確な方針が示されていないのも事実です。
繰り返しますが、同性婚は州での問題で、連邦政府の問題ではありません。従って、州が同性婚を認めたとしても、連邦法に基づいた移民法を通しては永住権の申請ができないのが現状です。もちろん、申請を試みても良いでしょうが、仮にケースが却下となれば、国外退去扱いになる可能性もありますので、充分な注意が必要です。
一方、性転換者に関しては、それが合法的に性転換されたということであれば、ビザを取得することができるかもしれません。
(次回は12月10日号載)

(「WEEKLY Biz」2011年11月12日号載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
過去一覧

Share.