〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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今週は「シンデル法律事務所」

雇用に基づいた永住権申請②

 前回(3月10日号載)に引き続き、今回は雇用を基にした永住権申請に関して、米移民局によるスポンサー会社の賃金支払い能力の審査状況について紹介したいと思います。
〈移民局の見解〉
平均賃金以上の給与を支払う雇用主の財政能力:
 永住権の申請プロセスの要件の一つとして、移民局は永住権申請を審査する際、雇用主が特定のポジションに対する永住権申請者に対し、米労働局より査定された平均賃金額の賃金を支払う能力があるかどうか法律に則って審査します。雇用主はそれを申請で立証しなければなりませんが、一般的に会社の純利益が平均賃金以上であること、スポンサーである雇用主が平均賃金額以上の給与を実際に永住申請者に支払っていることを証明する必要があります。これら基準を満たせない場合、会社の給与支払い能力を示すために以下のような事項を考慮して移民局に立証するという方法があるでしょう(ただし、これらはあくまでも代替案に過ぎず、下記の事項の証明は必ずしも認可にはつながることを保証するものではありません)。
(1)他の同ポジションの従業員の交代要員ではないか
(2)流動資産VS流動負債の再評価はできないか。会計士は会社の流動資産と流動負債を再評価することもあります
(3)火災やストライキ等の特別な事情により、永住権申請のその年に影響した特別損失の説明はできないか
(4)繰越純営業損失の検討。もし会社に繰越純営業損失がある場合、前年のものとして扱い、差し引くこともできます。その際は銀行の残高証明書が有効です。
(5)永住権のスポンサー会社が、ある会社の子会社である場合、親会社の財政能力で証明できないか
(6)S法人の場合、法人納税申告書(11205)には記載されない所得項目を考慮できないか
(7)もし雇用主が社員に給料を100年間払い続けている場合、会社沿革を提供することで対応
(8)会社のオーナーがより少ない給与を受け取るという共述書を提出
(9)PC(Professional Corporation)のような小規模の会社では、二重課税を防ぐために、会計士が雇用主に対して、できるだけ高い給与を雇用主自身に支払うことを薦めている場合もあるので、その金額を考慮できないか
(10)会社によっては次の年の経費を前年中に支払う場合もあるので、その経費を差し引くことはできないか
 上記以外でも経済状況、また会社のタイプによっては会社に財務能力があることを別の視点から示すことも可能かもしれません。
(次回は5月12日号載)
(「WEEKLY Biz」2012年4月14日号載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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