〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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補習校の魅力あふれる生活とは

日本語や日本文化を大切にし、仲間の結束力も強い

4月といえば入学・新学期のシーズンですが、ここ米国においても日本人学校や補習校にて入学式や始業式が行われました。補習校に通学している子どもの場合は、平日に通学する現地校では年度途中なので日常生活が大きく変わることはありませんが、私の勤務する補習校では多くの子どもたちが新しい学年での学校生活への期待に胸を膨らませ、なんとなくうきうきしている様子を感じました。新しい教科書を手にして、新しい先生や同級生に対面する新学期ならではの光景です。
補習校では、この時期に日本からやって来た子どもが仲間に加わることもあります。その一方で、帰国した同級生の姿が消えて寂しい思いをする時期でもあります。このような児童生徒の入れ替わりは、むしろ日本の学校よりも激しく、夏休み明けや冬休み明けにもあります。別れは子どもにとっても寂しいものですが、補習校での出会いはとても貴重です。補習校には、日本の全国各地からやって来た子ども、他州からやって来た子ども、米国以外の生活を経験して来た子どもなどが集まるからです。もちろん、幼稚園からずっと補習校にいる子どももいます。日本に生まれ育った子どもでは経験できない出会いがあるのです。
また、補習校の子どもの多くは、現地校では外国人として学んでいます。そのような子どもは、自分自身が米国に来たばかりの頃に、それぞれ苦労をしています。そのため、米国に来たばかりの子どもに、現地校の様子を教えてあげたり、困っていることの相談に乗ってあげている姿も目にします。一方、米国暮らしの長い子どもにとっては、日本から来たばかりの子どもは、日本の同世代の最新のトレンドに精通した注目すべき存在です。このようにお互いの魅力を認め合う雰囲気があります。そして、補習校の学校生活は、日本の学校に準じていますので、そこでの生活の中では日本的な雰囲気を感じることができ、自分が日本人である、または日本という国に関係している存在だと実感することができます。
このため補習校は、日本の学校以上に日本的な学校だと感じることもあります。正しい日本語を使うことや礼儀作法を重んじる日本文化を大切にしていますし、子ども同士の仲間意識も強く結束力もあります。現地校の終わった後も、学習塾や習い事にも忙しい生活をしている中で、土曜日も通学するのは大変ですが、補習校での魅力あふれる生活を体感し、実りある米国での生活を謳歌してほしいものです。
(次回は5月28日号掲載)(「WEEKLY Biz」2011年4月23日号掲載)
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