〈コラム〉FXDD提供「米国在住の誰もが気になる為替と世界の事情」第18回

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有事のドルの行方

6月に入り、中東イラクにおいてイスラム過激派組織イラク・レバント・イスラム国(ISIL)とシーア派中心のマリキ政権との武力衝突が激しくなっています。米軍は2011年12月にイラクから完全撤退するまで8年間もの間、軍事介入を続けていましたが、オバマ大統領は再び同地への派兵などの軍事行動の検討をしていると言われています。
今のところ米国をはじめとする各国の株価は堅調ですが、ウクライナ情勢に加えて、中東情勢の緊迫化によって原油価格はじりじりと上昇傾向となり、これらの不安定要素が黒雲となって垂れ込めてきています。
ところで、世界経済に影響を及ぼすような戦争、テロ、重大事故などが起こると一般的に「有事のドル買い」となり、基軸通貨で流動性に優れた米ドルが上昇するといわれていました。実際に1991年の湾岸戦争勃発の際にはドルが買われましたが、2003年の米軍によるイラク空爆の際にはドルが売られるなど、同じような事件に対しても市場での反応はちぐはぐなものとなっています。01年に起きた9・11米同時多発テロの際にもドル相場は下落しており、今では「有事のドル売り」が一般的な市場の反応となってきています。
これは、米国が事件の当事者となることはドルにとってマイナスであり、圧倒的な軍事的脅威を持ちながらも外交的には内向きになってきている同国の姿勢を反映したものといえるでしょう。
金融市場では現状が有事であるか否かが投資の判断基準ではなくなり、「リスクオン(※1)」なのか「リスクオフ(※2)」であるかが投資行動の判断を左右する物差しとなっています。リスクオンであれば、リスク通貨としてドル、ユーロ、ポンド、豪ドルなどが買われ、リスクオフとなると待機通貨として円、スイスフランなどが買われる傾向が強くなっているのです。(次回は8月第2週号掲載)
(※1)リスクオンは、株式やコモディティ、高金利通貨など、リスクの高い資産に資金を振り向けること。
(※2)リスクオフは、株式やコモディティ、高金利通貨など、リスクの高い資産を避け、国債や短期金融商品など相対的に安全と思われる資産に資金を移すこと。

〈情報〉FXDD World Trade Centerに本部を置くFXDDは世界180カ国に顧客を持つ為替ブローカー。日本語を含む13言語対応・24時間体制のカスタマーサポートでFX業界をリード中。親会社は世界28カ国でグローバルな金融サービスを提供しているTraditionグループ。【ウェブ】www.fxdd.com【facebook】www.facebook.com/FXDDjapan

過去の掲載 FXDD_cbcp_2014_March21

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