変わる中学2年生以下の子どもたちの大学入試
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
大学入試センター試験に代わる新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が、2020年度より導入され、現在の中学2年生が初年度の受験生となります。新テストでは、「知識や技能」よりも「思考力・判断力・表現力」を重視し、教科の枠にとらわれず、図表や写真などを読み取って考え、それを文章で表現するという出題がされるようです。また、新テストの導入とともに、各大学における個別選抜も「主体性・多様性・協働性」を評価するため、小論文、プレゼンテーション、集団討論、面接、推薦書、調査書、資格試験などとすることが検討され、現行の一般入試・推薦入試・AO入試という区分を廃止し、アドミッション・ポリシーに基づき大学入学希望者の多様な能力を多元的に評価する選抜へ抜本的に改革することが目指されています。
中学2年生以下の子どもたちが高校に進学する2022年度には、文部科学省の高等学校学習指導要領が変わり、新科目が導入される予定ですが、新テストや個別選抜に求められる「思考力・判断力・表現力」や「主体性・多様性・協働性」を養うことは容易ではなく、時間もかかります。そのため、中高一貫校では、中学生を対象に新しい大学入試を意識した指導を推進している学校もあります。一方で、多くの公立中学校では現段階では対応しきれていないのが実情です。
また、新テストの英語は、TOEFLのような実践的な英語力を測るテストとなるようです。英語圏からの帰国生にとっては大きなアドバンテージです。海外生活の間に極力英語力を向上させることは大切ですが、帰国後に英語力を維持することも必要です。中高一貫校では、実践的な英語力を養う学習に力を入れている学校も目立ちます。一方で、公立中学校では予算の関係もありネイティブの英語講師の授業が減少している傾向もあります。
帰国後の学校は、大学入試に向けた指導の特徴も考慮して選択することをお勧めします。
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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