99%であれば出生前診断の代替できる

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出生前診断23
~妊娠第1期:ファースト・トリメスター
簡易な検査で精密な結果が得られる時代に突入した(4)~

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第58回

今回からは、染色体異常を精密にスクリーニングできる新しい血液検査に関する市場の見解の誤りの背景、そして、当技術であるセルフリーDNA検査についての説明を開始していきます。

この市場における認識の誤りは、前回も触れたとおり、新スクリーニング検査の会社のマーケティングに誤解を招く要因があります。

例えば、市場に広く普及しているMaterniT21を提供しているメーカーでは、当メーカーのMaterniT21 PLUSというスクリーニング検査に関して、常染色体トリソミーを正確に検出の結果は99%の確率、当メーカーのトリソミー21(ダウンシンドローム)とトリソミー18(エドワードシンドローム)の標的スクリーニング検査するVisibiliTに関しては99%以上の確率で罹患の可能性を実証している、と説明しています。

また、右記スクリーニング検査と競合であるHarmonyを提供している大手メーカーでは、〝ハーモニーは、妊娠10週の早い時期に実施可能で、ダウンシンドロームを引き起こすトリソミー21の示唆の確率は99%を上回る、と謳っています。

この記述説明を基に、右記スクリーニングらを受けた妊婦は、胎児がダウンシンドロームであるかどうか、の正確性の確率は99%である、と産科医または遺伝カウンセラーから言われます。このことは妊婦の報告からも分かっています。

この99%の意味は、ダウンシンドロームである胎児を実際に妊娠している妊婦のうち、何%が当スクリーニング検査によって検出されるか、の確率を示しています。つまり、これらのメーカーの99%の確率、とした場合、ダウンシンドロームの胎児を妊娠している100人の妊婦のうち、99人に関してダウンシンドロームの胎児であることを正しく判定をしている、ということを意味します。つまり、1人に関しては、実際、ダウンシンドロームの胎児であるにも関わらず、その事実を認めず、「偽陰性」(ダウンシンドロームはなく正常であるという結果)のスクリーニング結果が発行され、ダウンシンドローム100ケースのうち、一つのダウンシンドロームの妊娠検出しなかったことを意味します。

99%であれば、精密な結果を得ることができるこの簡易な検査が侵略的な施術である出生前診断(絨毛検査(CVS)や羊水検査)と同値であり、代替できることになります。次回からは、この数字の謎、そして当技術であるセルフリーDNA検査について説明を開始します。

(さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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