「あなたはこれでいい」と子供に伝え続けてほしい
お母さんは子供にとっての、最大かつ唯一の味方で、応援団長で、サポーターで、その絶対的な親からの絶大で絶対的な信頼とサポートをしょって子供が外に行って戦うという状況を整えてあげることは、子供にとってとても大事なことで。こうして母と私と娘のことを考えていると、そのことを思います。
親が言うことを子供がくよくよ気にしたり、親に怒られないようにしはじめたら、子供の力は、ものすごく削がれるものです。自分の存在を100%受け入れてくれるお母さんがいて、子供自身が自分を100%受け入れられるようでないと、幸せになれないと思うんですよね。自信を持って生きないと。それにはやっぱり、毎日のお母さんの言動がとても大事で。やはり勇気づける言葉をいつも、肯定的な言葉でシェアしていきたいものです。肯定的に受け入れる言葉をいつもシャワーのように浴びせることによって、子供は漠然と「自分はこれでいいんだ」っていう自信を感じてのびのびと大人や友達と接することができるようになるのです。
ああでもないこうでもないと口を挟んだり先回りして、自分の存在や言動に自信を持てなくなってしまうと、それは何より悲しいことですしね。そうなると、人生で、成功するのがむずかしくなってしまうんじゃないかと思います。周囲の人たち、例えば先生などが否定しても、うちの親みたいに、「うちの子はこれでいい」と言ってほしいのです。うちの親が「先生がおかしい、あなたはこれでいい」と言ってくれた時、私は10歳だったけれども、嬉しかったのです。本当に嬉しかったのです。うわあ、なんだか、うちの親はすごいなあ。先生がつけた通信簿の点数よりも、私を認めてくれるなんて、と思ったことを55年以上経っても一生忘れられずにいるわけですから。もし子育てで悩んでいるお母さんがいたら、ぜひこれだけは、伝えたいなあと思います。
(次回は11月23日号掲載)
かわの・さおり 1982年に和包丁や食器などのキッチンウエアを取り扱う光琳を設立。2006年米国レストラン関連業界に貢献することを目的に五絆(ゴハン)財団を設立。07年3月国連でNation To Nation NetworkのLeadership Awardを受賞。米国に住む日本人を代表する事業家として活躍の場を広げている。
(2019年11月9日号掲載)