乳がんと戦う3
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第134回
現在、米国の女性間で最も多く診断されている乳がんについて説明している。乳がんは、8人に1人が、女性の人生の中で1回は診断を受けるといわれている罹患率の高いがんであるが、以前の乳がんは最終宣告、とされる時代から、70%の乳がんは、死亡は避けることができるようになっており、この25年で43%も死亡率が改善している、と前回=3月2日号掲載=お伝えした。
現在、米国では、米国対がん協会(American Cancer Society)が、40歳からマンモグラフィーによる検査を推奨している。実は、もともと40歳からの推奨年齢を、2009年に50歳からと変更した経緯がある。しかし、再度、23年5月に、早期発見が命を救うためには重要である事実から、40歳からの推奨へ、と再変更を行った。
もし、家族に乳がんを罹患した患者がいる場合や、乳がん関連の遺伝子変異があることがわかっている場合(要検査)はこの限りではなく、一般の40歳での検査より早めに検査開始を行うべきであると推奨されている。
明確な2つの種類の乳がん罹患リスク
米国対がん協会による2種類の乳がんの罹患リスクについて説明する。これは、変えられないリスク要因と変えることができるリスク要因である。
変えられるリスク:ライフスタイルにより影響しているリスク
乳がんの罹患リスクの変えられるリスク要因はライフスタイルや自己の決断、に関わり、これらからの罹患リスクは個人の認識により軽減できる。米国対がん協会によると、閉経後の肥満、アルコール摂取、運動不足、ピル(経口避妊薬)服用、閉経後のホルモン補充療法、妊娠歴、母乳歴などが関連しているリスク要因としている。次回、これらの内容を説明していく。
(次回は7月6日号掲載予定)
【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。