代理出産という選択(2)

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第12回

さまざまな身体的理由で自力での妊娠・出産が困難な人たちがいる。子宮を全摘出した、重度の子宮筋腫など先天的または後天的に子宮や卵巣に問題がある人、心臓疾患のため出産が困難な人、複数回の体外受精で良い結果が得られなかった人や不育症に悩む人などにとって、代理出産によって子供を授かることは、医療の進歩が生み出した大きな福音と言えるだろう。

成功率は約80%

代理出産の第1のメリットは、なんといっても妊娠・出産が不可能なカップルでも子供を授かれることだろう。前述のような問題を抱える人たちに加え、同性婚の認められている米国では、ゲイカップルなどが代理出産によって子供を授かるケースも増えている。また、自らの精子と卵子を使った場合、自分たちの遺伝子を受け継ぐ正真正銘の我が子を手に抱くことができるという点は、同じく第三者を介する卵子(精子)提供とは異なった生殖補助医療と言える。

高齢出産のリスクを回避できることも大きなメリットの一つ。35歳を超えると流産や胎児の染色体異常、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病発症のリスクが上がると言われている。さらに卵子の老化と減少のため、長い不妊治療に足を踏み入れ、結果断念するカップルも少なくない。しかし代理出産を試みることで、年齢を問わず、身体的な懸念や負担もなく、健康な子供を授かることができるのである。

そして代理出産の最大の強みは、その成功率の高さ。「質の良い受精卵(胚)」、着床前診断を経た遺伝子異常のない「正常胚」、厳正なスクリーニングをクリアした「若くて健康な代理母」の子宮に、この最良な胚を移植することで妊娠・出産の確率は格段に高くなる。その成功率は1度の移植で約80%とも言われている。

米国での代理出産は高額だが

もちろん問題や課題もある。ご存知のとおり、日本ではまだ代理出産に関する法整備が追いついておらず、日本国内での代理出産は認められていないため、法律で認められている国(州)のみで受けることとなる。理由は主に倫理的な観点と民法上の戸籍問題によるものだが、不妊増加と医療技術の進歩が進む日本において、生殖補助医療に関わる法整備の必要性は喫緊の課題として少しずつではあるが前進している。

代理出産プログラムに伴う費用は高額で、特に米国では約9万~13万ドルと他国と比較して高い。だが、「子の福祉」「子の最善の利益」に配慮した制度が整う米国での代理出産は、依頼するカップルにとっても、生まれてくる子供にとっても大きな魅力であり保障となる。そして米国の成功率の高さは群を抜いており、世界最高峰の高度生殖医療と医師の下での代理出産プログラムを望む依頼者は国内外から後を絶たない。

強い責任感を持った代理母を

質の良い正常胚を、若くて健康な代理母に移植することで高い成功率を誇る代理出産。それゆえ代理母との出会いこそが鍵となる。代理出産を認めるどの国(州)も代理母に対し、バックグラウンドをはじめ心身両面における厳正なスクリーニング、代理母として妊娠・出産を全うするに相応しい健康な身体であるという産婦人科医からの証明書の提示を義務付けている。また、代理母は強い責任感と忍耐力、道徳心を備えた女性でなければならず、当クリニックでは精神科医からの診断評価レポートの提示も要請している。

倫理的なこと、法的なこと、経済的なこと全てを理解し、この女性にだったら自分の代わりに妊娠・出産を委ねられると強く思える代理母に出会えた時、あなたの代理出産プログラムという大きな挑戦が始まるのである。

(次回は3月第2週号掲載)

 

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