未来を創る卵子凍結(2)

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妊活のとびら NY不妊治療ストリーズ 第14回

「若いうちは仕事や恋愛を思う存分楽しみ、やがて最愛のパートナーと出会い結婚。子供は2人くらいほしい」。そんな人生シナリオを描いている女性も多いだろうが、現実はそう思い通りにいかないこともある。女性の卵子は年を重ねるごとに老化し、妊娠しにくくなるからだ。このような理想と現実のギャップを解消する「卵子凍結」という生殖補助医療が、妊娠・出産という望みを託した現代のタイムカプセルとして、最近若い女性を中心に大きな注目を集めている。

卵子凍結の適齢期

前回=3月12日号掲載=ご紹介したように、卵子凍結には、がん治療などの過程での妊孕力(妊娠する力)の低下を回避することを目的とした「医学的適応による卵子凍結」と、将来の妊娠・出産への備えとして若くて健康な未受精卵を凍結保存する「社会的適応による卵子凍結」がある。では、未来への備えを目的とする場合、一体何歳までに卵子凍結すべきなのであろうか。

米国生殖医学会(ASRM)では、将来の妊娠成功率を鑑み、20~30歳に卵子凍結することが望ましいとしている。35歳頃から急激に卵子の質は低下し、それによって染色体異常の確率も高まり、妊娠率が低下するからである。

15~20個の卵子で妊娠率90%

将来妊娠の可能性を高めるため、20~30歳の間に卵子を凍結するとともに、もう一つ必要となってくるのが卵子の個数。若くて健康な一つの凍結卵子から将来妊娠する可能性は2~12%。例えば20代で卵子凍結を行う場合、15~20個の卵子があれば約90%の確率で妊娠できるだろうと言われている。ただ、年齢が上がるにつれて妊娠に至るに必要な卵子の数は増える反面、卵子の数は年々減ってくるので、早めの決断が功を奏すると言えるだろう。

そこで盲点となるのが卵子の数。卵巣に残る卵子の数はある程度年齢に比例するとはいえ個人差が大きい。20代だからといって、必ずしも豊富に卵子が残っているとは限らない。いつか妊娠・出産を考えているなら、まず早いうちにAMH値(卵巣予備能)を知り、もしもAMH値が低い場合は、できるだけ早く卵子凍結を試みるべきである。

いつ解凍する?

卵子を凍結する際、いつそれを自分の子宮に戻すのかという未来設計もある程度立てておく必要がある。一般的に約5~10年間凍結保存した後、妊娠を試みるという女性が多いが、米国では年齢や保存期間の上限を設けていないクリニックも多い。ただし、長く卵子を保管し、30代後半、40歳以上での妊娠を望む場合は、高齢出産のリスクも考えておかなければならない。

また、卵子凍結にはコンサルテーション、採卵、子宮に戻す際の体外受精(IVF)、薬代のほか、保管料(約800~1500ドル/年)などの費用が掛かり、保管期間や卵子の個数によって費用は大きく変わってくる。今の年齢、AMH値、卵子を戻す年齢、費用など、事前にしっかりとシミュレーションしておくことが、卵子凍結の成功のカギとなるだろう。

(次回は5月第2週号掲載)

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