代理出産の歴史(26)コロナ禍が引き起こしたロシア代理出産大問題(3)─ロシアは外国人代理出産依頼禁止へ─

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代理出産31

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第103回

医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産について説明しています。2013年から、外国人依頼の商業代理出産に対しインド、タイ、メキシコと禁止する規制は続き、世界中で商業代理出産の取り締まりが強化されたこと、そして、代理出産への批判が表面化している中、合法ではあるものの高額である米国を避ける依頼者が、数少ない商業代理出産が合法であるジョージア、ウクライナ、そしてロシアに集中し始めたところでコロナ禍が勃発、代理母から誕生した赤ちゃんを依頼者が迎えに行けない状況を作り出しました。そして、ロシアで代理出産から出生した赤ちゃんが死亡した事件を前回=5月1日号掲載=から開始しました。現在、21年の春、ロシア議会は、外国人が代理出産を依頼することを禁止する法律を設定するように動き出しています。

19年12月にロシア警察が、フィリピンからの依頼者の死亡した代理母から出生した赤ちゃんと、フィリピン国家議員による代理出産依頼から出生した赤ちゃんを含む3人の赤ちゃんをアパートでみつけ、人身売買犯罪関係とみなしたあと、捜査が開始され、誕生した赤ちゃんのケースを行った不妊治療クリニックの担当医師、代理出産書類の翻訳者もそれらの書類の国際便のアレンジを行った関係者までも全て逮捕されました。本件に携わった弁護士は人身売買の罪で起訴されましたが、逮捕される前に国外へ逃げたと伝えられています。その後、彼は、メディアを通し、発言を世界に発信しています。赤ちゃんらは、契約上、ロシアの法律にのっとって、合法に両親であるフィリピン人の両親の元ではなく、孤児院に送られました。ロシアの捜査班は当弁護士を指名手配としました。

この事件をきっかけに、ロシアにおける合法であったはずの代理出産状況は難しくなったと同時に、コロナ禍が世界を覆い、ビジネスも人々の生活も動かなくなっていました。捜査が継続されると同時に、コロナがまん延した夏を迎え、以前の当シリーズにも書いたように、世界中の国々同様、ロシアも国境を閉じ、代理出産から誕生した依頼者である親を待つ1000人以上の赤ちゃんが留まってしまうことになりますが、ロシアはこの19年12月の代理出産の赤ちゃん死亡事件問題と併せて、代理出産を問題視するようになりました。ロシア政府は、人身売買とし、多くの中国からの依頼者からの代理出産で出生したケースを含む赤ちゃんの出国を差し止めることになります。

(次回は7月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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