代理出産の歴史(28)コロナ禍が引き起こしたロシア代理出産大問題(5)─ロシアは外国人代理出産依頼禁止へ─

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代理出産33

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第105回

医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産について説明しています。2013年から、外国人依頼の商業代理出産に対しインド、タイ、メキシコと禁止する規制は続き、世界中で商業代理出産の取り締まりが強化されたこと、そして、代理出産への批判が表面化している中、合法ではあるものの高額である米国を避ける依頼者が、数少ない商業代理出産が合法であるジョージア、ウクライナ、そしてロシアに集中し始めたところでコロナ禍が勃発、代理母から誕生した赤ちゃんを依頼者が迎えに行けない状況を作り出したと同時に、ロシアで代理出産から出生した赤ちゃんが死亡した事件を引き金に取り締まりが開始され、21年の春、ロシア議会は、外国人が代理出産を依頼することを禁止する法律を設定するように動き出したことをお伝えしてきています。

前回=7月3日号掲載=、ロシアでの代理出産取り締まりの根源は、プーチン大統領が伝統的な男女による家族の形成を守りたいとする基本理念にあり、代理出産が同性愛者の人生形成に利用されているとし、プーチン大統領は、代理出産の取り締まりを同性愛者を攻撃する絶好の機会とみなしていること、20年秋には代理出産で赤ちゃんを授かったロシア国民である父親が国外へ逃げたことを説明しました。

ロシア政府は、代理出産を人身売買とし、代理出産から出生したケースを含む赤ちゃんの出国をコロナ禍勃発の20年から差し止めていますが、21年5月に、20ケースの中国人依頼者である親権者が赤ちゃんを返してほしい、と、ロシアの裁判所に訴状を提出しました。上記の流れから、ロシアの代理出産を取り締まろうとするロシア政府は、赤ちゃんは支払いによって出生した人身売買による産物で、赤ちゃんらは代理母夫婦に属するとし、出国を妨げているためです。中国人依頼者は、DNAテストで血縁関係が証明されていることを掲げ、返還を要求しました。

21年6月21日には、ロシアのニュース機関であるTASSは、ロシア下院にて外国人の代理出産によって生まれた無国籍の子供たちにロシアの市民権を与える法案が提出された、と報道しました。この法案には、婚姻下のロシア市民または自分で子供を産むことも産むこともできない独身のロシア人女性だけが代理出産を使用できると定め、外国人の代理出産を禁止するものになっています。

(次回は9月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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