代理出産の歴史(38)~代理出産の現状の動き~ニューヨーク州(1)

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代理出産43

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第115回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史についての3年半近くに亘るシリーズも、ロシアの代理出産を否定するプーチン大統領がウクライナを軍事攻撃し続けており、代理出産依頼が可能であった両国ウクライナでも難しくなっている、という最新状況をお伝えしていることで、終盤に向かってきています。

前回=5月7日号掲載=、世界中で、代理出産の依頼が難しくなっている中、新しい逆の動きとして、ニューヨーク州で新たに、商業代理出産を法的に可能となったことをお伝えしました。

米国は、代理出産に関する連邦法が存在しないため、州の法に依存します。州によって代理出産の規則が違い、代理出産が許されている州は少数です。代理出産が法的に合法である、とは、裁判所が代理母から赤ちゃんが出生する前に、依頼者が赤ちゃんの合法な親として認識する、ということです。つまり、依頼者が出生した赤ちゃんを医療機関から依頼者の家に親として連れ帰ることができる親権を持つ、ということを意味します。

ニューヨーク州は、州議会において10年にわたる論争後、クオモ知事(前)の支援を受け、2020年4月3日に児童と親の安全法(CPSA、The Child-Parent Security Act)が可決され、代理出産が合法化しました。当法律は21年2月15日に発効し、商業的代理出産の道を開きました。当新法律は、代理母が自分の卵子を使用する伝統的(遺伝的)代理出産方法を除いた第三者の生殖医療によって出生した赤ちゃんの対して適用され、依頼者と代理母の両者を包括的に保護することを目的としました。ニューヨークでビジネスを行う代理出産マッチングプログラムのライセンスの必要要件、代理出産プログラム、及び、生殖補助医療関係者に課せられた要件が規定されており、代理母が、依頼者によって支払われる生命保険、医療保険を得る権利も保証されています。

(次回は7月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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