代理出産48
「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第120回
代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史についての3年半近くに亘って説明してきました。現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。前回=10月1日号掲載=、代理出産が合法ではない台湾にて、中国、特に北京での代理出産を勧誘する広告が多く見かけられることをお伝えしました。
2021年1月に中国の有名女優が依頼したとされる米国での代理出産からの赤ちゃんの放置についてのスキャンダルが起きました。中国国営放送のCCTVは解説の中で、「私たちの国(中国)では代理出産は明確に禁止されている」と伝え、当女優を批判し、世論を騒がせました。以下、中国の代理出産の違法性について詳しく説明していきます。
中華人民共和国政府のホームページに中国政府衛生部からの01年8月1日発行の〈人口生殖補助技術に関する行政措置〉にて、焦点の要件について、全て網羅され、中国の制約を明記しています。
●第3条に、配偶子、受精卵、及び、いかなる形態の売買は禁止する、と記されています。また、中華人民共和国では、代理出産は違法であり、同法規に、医療機関および医療従事者は、代理母出産を一切実施してはならない、そして、
●第17条に、体外授精において、生殖は医療を実施する医療機関は、性選別を行ってはならない、と規定されています。
●第22条は人工生殖補助医療を行う医療機関が右記の違反を行った場合、3万元以下の罰金、及び、責任者に行政処罰を科し、刑事責任も追及すると書かれています。
中国では、これらが明確に、法規となっているため、代理出産を含む右記の行為は違法で、罰則対象です。
次回は、やはりお問い合わせで質問されることがある韓国の代理出産が同様に合法ではないことを説明していきます。
(次回は12月第1週掲載)
【執筆者】清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。