代理出産の歴史(42)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(3)〜台湾での代理出産は不可

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「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第119回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史についての3年半近くに亘って説明してきました。現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。まず、よくお問い合わせにある台湾における代理出産が現在、合法ではないことはすでにお伝えしました。

台湾現地では代理出産に関する法規成立に関し、ほとんど進展がない中、2020年5月1日にやっと代理出産関連の人工生殖法の初読会が行われたことを前回=9月3日号掲載=説明しました。ここで、初の審議を通過した人工生殖に関する法律案第18条の1によると、代理出産を依頼することができる条件として、次のいずれかを満たす必要があります。
1、妻に子宮がない場合
2、妻が子宮、免疫疾患、その他の理由で妊娠することが困難である場合
3、妻が妊娠・出産をすることによって生命の危険にさらされる場合

22年秋現在、この初審議が行われた20年5月から全く動きがないことを考えると、台湾での代理出産が合法に立法化されることはまだ非現実的であること、そして、いつの日か合法になったとしても、医療的な条件が限られており、依頼は限定されます。また、法律案に、「妻」という言葉が文言に書かれていることから、婚姻関係にある男女による依頼であることが前提です。

台湾のインターネットを検索すると、台湾での代理出産は合法ではないためか、中国語で、“北京での代理出産”“北京で成功報酬での支払い方式”などと、中国本土(北京)での代理出産を勧誘している斡旋広告が見られます。

この広告の存在があるとしたら、中国での代理出産は、合法のように見えます。

21年1月に中国の有名女優の米国における代理出産依頼が中国で大問題になりました。次回は、中国における代理出産の合法性ついて、リポートしたいと思います。

(次回は11月第1週掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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